結論から言うと、今季の重箱式巣箱の実験は失敗です。

本来ならこの時季は花も沢山咲き、ミツバチの活動も活発になるはずでした。

しかし昨年末からここまで、雨季らしからぬ雨不足で、花も咲かず、ミツバチにとっての食糧である蜜が採れず、ミツバチたちも元気がありませんでした。

FacebookやInstagramの投稿を見返すと、昨年の今頃は、毎日のように雨が降って止んでの繰り返しで、豪雨で家の中まで浸水して深夜にモップで水を掃き出すことが何度もありました。

しかし今年はそれが一度も無いので、それだけでも今季がいかに雨不足なのかわかります。
イニャリメの内陸にある池もこの時期本来あるべき水が枯れてしまっていました。

ミツバチだけでなく、他の野菜なども不作のようです。

こんな状況の中でも強い勢力を持ったミツバチの群は頑張って蜜を貯め、タンベイラからは例年よりは少ないものの、ハチミツを採ることができました。

重箱式巣箱への入居の実験もあれこれ試しました。

女王蜂を見つけて王籠に入れて巣箱に入れてみましたが、帰巣本能を優先した働き蜂たちは女王蜂を置いて去って行きました。

Felicianoのアイデアで、漁業で使う釣り糸を重箱に張り巡らせ、巣板を固定するシステムを作りました。
普段からタンベイラからラングストロス式への入れ替えをやっているFelicianoだからこそ、経験からのアイデアが活きています。
「帰巣本能を優先する」という反省を踏まえ、タンベイラからハチミツを採って、その場に重箱式巣箱を置き換え、巣板を固定するというやり方で試しました。

これが上手く行き、しばらくはミツバチたちが巣箱の中に定着してくれて、巣を修繕しようと頑張ってくれていました。

先週までは順調にミツバチが居てくれてたのですが、今週確認するとミツバチたちが力尽きていました。

もし蜜源植物が豊富なら、働くのに必要な食糧を得られたはず。
雨不足でなければ、上手く行ったはず。
とか、言い訳ならいくらでもできます。

でも失敗するたびにミツバチの1つのコロニーを殺してしまっているのです。

食糧不足で苦しい状況に立たされているミツバチたちに、追い打ちをかけるように巣箱の入れ替えをして、大事に貯めた食糧の大半を奪ってしまって、余計にストレスを与えてしまっているのです。

ミツバチたちに申し訳ない気持ちでいっぱいです。

今季の重箱式の実験はもう止めにします。

もし今からでも雨が沢山降ってくれたら…とか、ミツバチが元気になってくれたら…とか、奇跡が起きればなぁ〜なんて思うけど、その期待もほんの僅かです笑

1年間の付き合いで、Felicianoも自分を信頼してくれるようになったようで、最近は近所に住む親戚や兄弟も紹介してくれたり、漁師の仕事に連れて行ってくれたりしてくれました。

Felicianoは重箱式巣箱の利点をしっかり理解してくれてるので、
「また来年重箱式を使うし、もっと沢山作ってタンベイラみたいにして使うよ。」
と言ってくれました。

来年の養蜂シーズンには自分はイニャリメには居ません。
でも来シーズンは雨がしっかり降って、花も咲いて、Felicianoが重箱式巣箱を成功させてくれることを願っています。
Felicianoと子供たち。
自分が方向性を見失ってやる気が落ちた時も、子供たちが遊び相手になってくれました。
ただ子供たちと遊ぶだけの日もあったけど、それでも楽しかった笑

というわけで、今シーズンはラングストロス式巣箱も全然蜜が貯まらない状況なので、他の養蜂家も今シーズンの採蜜を諦めてます。
技術指導らしいこともできず、自分の協力隊としての活動も中途半端なままに終わりそうですw

高校時代3年連続で体育祭が雨だったり、自分が主催したり出展者として参加したイベントは全て雨が降ったりするほどの雨男の自分でも、イニャリメの空には敵いませんでした笑

天候に左右される養蜂だから、こればかりは仕方ない。
ヤケになって無理矢理でもハチミツを得ようとするなら、それはただの自然破壊です。

そんなことまでして成果を上げたところで、後には何も残らないと思います。

「自然のありのままの中で養蜂を楽しみたい。」
日本でのニホンミツバチの経験から得たポリシーはイニャリメでも貫きたいと思います。
ストレスを沢山与えてしまったけど、それでも自分はミツバチを、愛してま〜す!(棚橋っぽくw)