ももクロ 映画「幕が上がる」個人的雑感 | ライディンのブログ

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好きな音楽中心に、自分の参戦したライブの備忘録として始めたブログです!

幕が上がるが公開されてずいぶん経ちます。


最初見た時は、公開二日目の日が浅い時で、細かい描写は全てネタバレになると思い、ざっくりした感想しか書けませんでした。

あれから何日も経ち、今更感もありますが、改めて映画「幕が上がる」の感想を書きたいと思います。


自分は、ももクロのファンでセンターの百田夏菜子を推してるので、かなり夏菜子寄りのレビューになってます(笑)


「幕が上がる」

この映画、青春映画であるが、とにかくシンプルな映画です。

シンプルな作品に仕上がってる理由として「恋愛、部員同士の確執、ライバルの存在」がない。

それらは青春映画に必要な要素であるし、逆にそれらが存在しないとストーリーの展開が単純で乏しくなる。


それらの要素が全くなく、衝撃的に印象づける決定的な場面もない。

それなのに、感動的に仕上がってるのは素晴らしいと思います。


それは奇しくも、ももクロがそういった「恋愛、グループ内の確執、ライバルの存在」と無縁なとこで活動してきたことで、リアルにグループの存在と映画での部活動が合致してるように思います。

だから、この映画の主演はももクロで良かったと思う。




衝撃的な場面こそないけど、部長のさおりの心の動きが丁寧に描かれています。


普通に高校生活を送っていれば、衝撃的なことなど起きません。部活動を3年間続けることも普通の事、大会で勝ったり負けたりもそう。新任の先生の移動や転校生も当たり前の事。

そんな普通の事でつづられたストーリーを感動作に仕上げた本広監督の演出手腕は評価できます。当然、平田オリザさんの原作あってこそです。


観た人が共感持ったり、感動したり、映画の世界に自分を投影したり、ももクロ知らない人が素直に入り込めたり、アイドルに拒否反応起こすような人にも評価してもらえたのは、無駄と過剰な演出がなかったことと、誰もが入り込めるリアリティーある自然な演技と演出だと思います。


ここでいう無駄とは「恋愛、部員同士の確執、ライバルの存在」です。

これらは、この映画では必要ない無駄なもののように思えます。

実際の部活動なんて、そんなこと日常茶飯事でしょうね(笑)


誰もが今の学生生活をダブらせ、昔の自分の高校生活を思い起こし、懐かしさもあり、もっとできたんじゃないかと悔しさも甦り感動したんでしょうね。

そういう自分は、思い出すというよりも、映画の中の部員たちが前向きに活動してることで感動しました。誰を頼るわけでもなく、部長を決めて部長任せにすることなく、先輩も後輩も一緒に協力して演劇を楽しんでる。そんな部活動の原点にも感動しました。

自分はどうだったか、、、、やはりキャプテン任せにしてたかも(笑)


短期間で身に付けたとは思えない、ももクロの演技も見ものです。

周りを有名な俳優で固められているけど、全く見劣りすることなく主演を演じてます。

初の主演映画、気負うことなくナチュラルな演技あってこその映画です。

クランクインまえのワークショップは重要で不可欠なレッスン期間でしたね。


共演者の黒木華さん。

幕が上がるに黒木さんが出演したのは大きいですね。

カメオ出演の多い作品で、ももクロとは縁のない女優さんを抜擢したのは大きい。

スタダには、有名な女優さんいますけど、そこからじゃなく黒木さんの抜擢。


この映画、全編にわたって部員の特に部長さおりの心の葛藤が描かれてます。

黒木さんは心の葛藤を上手にセリフに乗せて表現できる女優さんだと思います。その演技を間近に見る事ができたのも、ももクロの演技力が急成長した要因だろう。


慣れ親しんだ女優さんじゃなく、初めて対面した女優さんだからこそ、度胆を抜かれただろうし、圧倒されたことも多かったんじゃないかと思います。


ライバルとの戦い、確執が無いはずの映画に、唯一存在したライバル関係、確執があったとすれば、それはさおりと吉岡先生の関係です。

それは、そのまま夏菜子と黒木さんとの演技勝負にもなってるように感じました。


「黒木華さんの演技は素晴らしい、黒木さんが影の主役だろう」そんな感想もみました。

それに真正面から対峙したのは部長のさおり。百田夏菜子でした。

ももクロの演技、夏菜子の演技を酷評するレビューは見てません。自分が気づいてないのかもしれませんが、高評価だと思います。


先生を勧誘するところからずっと、二人のやりとり見てもさおりの演技は負けてなかった。

先生が灰皿投げるとこなんて原作にはないところ。

あの演出を入れたことによって、先生とさおりの対決、ライバル関係を仕立て上げた気はします。

本来は師弟の関係でもあるが、吉岡先生が投げかける課題をクリアしていくことで二人の対決を演出してるように感じます。


先輩を慕う明美ちゃん、越えなければいけない壁が吉岡先生。

要素がないといってた「恋愛と確執、ライバル関係」がしっかり組み込まれてる気もします笑。


セリフは忘れましたが「全国を目指すとなったら人生が変わるかもしれない」「責任とれない」

このセリフもある意味衝撃的な言葉でした。


文化部の活動で「人生狂うようなことがあるの?」と正直思いました。

原作読んで、高校演劇の大会の仕組みがわかって初めて気づきました。

運動部にはないことで、演劇部だからこその世界。

受験の追い込み時期と、演劇の全国大会目指す時期が同じなら「なるほど、受験に失敗する可能性あるし、人生かかってくるよなー」


演劇部の3年生はそれほど重いものを背負って取り組んでる。

淡々と進んでるようで、このストーリーにはいろんな山場があることも気づきました。

そんな高校演劇の実情が少しわかって、更にリアリティーが増します。


夏菜子の演技は良かったです。

いつも笑ってるから笑う演技は自然とできてたかもしれない。

部長になってから悩んでる場面、不安がる場面、自信を失う場面、そんな不安な演技も自然にできてた。作った演技じゃなく自然な演技が。


夏菜子が原作を読まずに映画の撮影に入ったのも成功でしょうね。

原作のさおりは、もの事を客観的にみて、少し冷めた部分もあります。

吉岡先生が辞める事になって、溝口先生(ムロツヨシ)が手紙を読む時も原作のさおりは泣いてません。先生がいなくなって全国を目指すことを部員の前で話す時も泣いてなんかいません。むしろユッコの方が泣いてます。


もし夏菜子が原作を読んでたら、部長は動揺などしない、いつも冷静に見てるしっかり者と思ったかもしれない。


それが劇中の部長さおりは、手紙を読み上げる場面は誰よりも泣いてるように見えました。

全員で全国に行くと決めて部員の前で決意表明する時も、涙をこらえて必死に話します。

どれもこれも、夏菜子が原作を読まず、勝手にさおり像を作ってこなかったからできた演技。


原作通り、台本通り、それがすべてじゃないという事もわかったし、それが出来る雰囲気の現場だったのも良かった。


絶対的存在、全幅の信頼を置いてた先生がいなくなって、最後頼れるのは練習であり、仲間の友情であり、目標に向かう強い意志。いつもの、ももクロ見てるようでもありますね。


映画を観終わって、すがすがしい気分になりました。

嫌々ならされた部長、実力はあるのに芽の出ない演劇部、失意の転校生。

最初の頃の頼りなさ、不安げな様子がなくなり、最後には全国行けると思えるような自信に満ち溢れた表情。

無駄を省いたわかりやすい映画だからこそ、感じる部員たちの表情、演技の成長。


皆はどうみるかわかりませんが、自分は「ももクロらしくない、ももクロ映画」。

普段のももクロを見てるから思うももクロらしくない映画。でもそこにいるのはももクロ。

ももクロを知らなくても感動するし、ももクロ知ってれば何倍も楽しめて感動できる。

それほど、いい映画でした。感動しました。