高校の吹奏楽部では合宿が年に2回ありました。
これはなかなか記憶に残ることの多かったものです。
特に夏は1週間という長さです。
なので色々なことがあった気がします。
一つ一つは些細なことですが非日常を楽しんだと言えるでしょう。
お盆が過ぎたあたりから苗場に山籠りだったのでした。
毎年スキー場から歩いて5分ほどの決まった施設で行われていました。
それなりに規模もあり合奏も二箇所でできるので都合が良かったのでしょう。
まさに練習しやすい環境でした。
外で楽器を吹けばこだまするようなところです。
なので爆音大会なるものを行なったこともありました。
誰が一番大きな音を出せるかを競うのです。
もちろん厳密な評価はありません。
どちらかというとその開放感を楽しんでいたのでしょう。
今思い出しても理屈で説明できない面白さがありました。
木管楽器でこれをするハチャメチャな人もいました。
それは2年生の時のことです。
合宿所前よりもこれを行う最適な場所が見つかりました。
より反響しやすいところです。
誰が気づいたのかそそくさと10人ほどで出かけていきました。
迷惑な高校生たちという感じでしょう。
閑散期だから許されたのだと思います。
向かった先は駐車場でした。
スキー場の目の前の大きなホテルのものです。
駐車車両はないに等しい状態でした。
おそらくその辺りは宿泊の営業もしていなかったのでしょう。
長い建物の比較的端の方だったと記憶しています。
そこで大音量を奏でると今まで体験したことのないような残響が残りました。
エコーを強くかけたような雰囲気です。
まるで自然と音が一体になっていくかのような時間でした。
たった一度だけのことですがその体感はしっかり体に刻まれています。
貴重な体験をしたと今さらながら思います。
谷 孝祐
2017.5.26 20:38