ロシアへの到着は不安を感じるのには盛りだくさんの1日だったように今更ながら思います。
しかし、これは序章でしかなかったとも言えるのかもしれません。
翌日、この滞在がしばらく緊張を強いられるものであるという事実が発覚しました。
それは警察に捕まるリスクでした。
今はどうなっているかわかりませんが、当時は到着日かその翌日に滞在登録をする必要があると知らされていました。
普通の観光客であれば宿泊したホテルで手続きすることができますが、そうでない場合は日本大使館に一度行く必要があるとのことでした。
お昼過ぎに、その目的で知人とともにモスクワの街中まで足を運びました。
ところが、大使館は閉まっていました。
年明けからまだ一週間くらいということもあり、お休みだったのです。
しかも、その休暇はあと一週間くらい続くようでした。
仕方ないことなのでそんなに問題もないかと思っていました。
ただ、そういった事情でも不法滞在といちゃもんをつけられて警察に捕まることもあるという話を聞きました。
当時、モスクワで一番たちが悪いのが警官だということでした。
その知人は実際にただ歩いていただけで捕まってパスポートを提示すると、偽造だという名目で警察の護送車のようなものに乗せられたことがあるという話を聞きました。
その時はすべての持ち物を検査されて、鞄に入っていた手持ちの現金すべてを渡すように言われたとのことでした。
それを受け入れ、2時間くらいで釈放されたらしいです。
こういう恐喝まがいの事例は珍しくないようで、もし滞在登録が済んでいない状態で運悪くこのような目にあうと、どうなるか分からないということでした。
ちなみに、警察はあちこちで60cmはありそうなライフルを片手に見張っていたのでした。
その頃はグルジアとの戦争中でテロを取り締まるという名目のもと、そこらじゅうに配備されていたのでした。
そんなわけで、滞在中の最重要課題は警察に目をつけられないことになってしまいました。
警官が多くいる観光名所は避け、道を歩いていても怪しまれないように振舞うことを意識することになりました。
キョロキョロしないことや早足で目的地にむかう様子が重要とのことでした。
要するに慣れていないような行動を避けるということです。
こんなことを注意したことは初めてでしたが、よく思い返せばとても良い意識のトレーニングになっていたのかもしれません。
この時に周囲の状況を把握してその場に合わせる力が高まったように思います。
とはいえ、海外の警察は危ないという固定観念もついてしまったのでした。
谷 孝祐
2015.9.25 22:38