リアルにある異世界 | 3年前のしこうの楽しみ

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コウモリの棲家である洞窟に行ってきました。
ボルネオ島のジャングルの中、陸路ではアクセスが非常に困難な場所にあります。

実質的に陸の孤島のようなところで、飛行機か現地の人の船で川をのぼるしかありません。
なかなか有名なようで、ヨーロッパの人がたくさん来ていました。

その洞窟は、非常に大きなもので高さが100メートル以上もあるようです。
そして、反対側も抜けられるので、洞窟というよりも天然の巨大なトンネルととらえることもできます。

抜けた先は美しい森があり、そこはエデンの園と名付けられているとのことでした。
その森が遠くに見える部分まで、観光用の散策路がついていました。

そんな洞窟の天井に、何万なのか何十万なのか見当もつかないくらい、おびただしい数のコウモリが住んでいるわけです。
中に入って天井を見上げると、黒い影のような部分が広がっていて、そこにびっしりとコウモリがいるようです。

今まで経験したことのないような、異様な光景でした。
何とも言えない臭気が漂い、塩分とバクテリアを含んだ川が流れています。
人によっては、あの世とはこんなところかもしれないと感じそうな雰囲気です。

良いとも悪いとも全く評価できない中、確実に感じられるのは、コウモリの世界にお邪魔しているということです。
人間の世界とは明らかに異なるこの世界は、おどろおどろしくもあり神々しくもある感じです。

コウモリが蚊などの虫を食べてくれるため、この地域には虫が少なく、環境のわりには過ごしやすいようです。
蚊を食べる生物の存在を初めて知りました。

夕方になり、洞窟の外から入り口を眺めていると、コウモリが連隊をなして飛んで行くのを見ることができました。
これは世界でもここでしか見られないとのことです。

何らかの規則があるのか、時折思い出したように一発づつ上がる花火のように、地味ですがそれなりの数のコウモリが列をなして進んでいきます。
まるで黒い小さな雲が風に流されていくようでした。

その光景と美しい森のギャップが、何とも言えない良い意味でのアンバランスを感じさせました。
そこには、世の中とはこんなものなのかもしれないと思わせる時間が流れていました。

2013.8.14 18:34 谷孝祐