何のギフトかは分かりませんが、とんでもないディナーとなりました。
翌日にしてベストイタリアンは、入れ替わりました。
レストランの席に着くと、アペリティフのスパークリングワインが自動的に運ばれて、次に白トリュフがお皿に五個くらいのっているものを見せられました。
最高級とされるアルバ産ではないものの、同じ州のピエモンテのものとのことでした。
ということで、白トリュフ尽くしのコースをいただくことになりました。
アボカドのペーストの上にトマトのクリアなソース、その上に蟹の身をほぐしたものがのっているアミューズに始まり、これだけが白トリュフが使われていないものでした。
前菜には、様々な食材が細切りになって混ざっているサラダ仕立ての上に、これでもかというくらい白トリュフがかけられていました。
スープやパスタ、リゾットと全て同じテンションで白トリュフが使われ、頭がおかしくなってしまいそうでした。
そして、メインは低温で火を通した子牛の上にさっぱりめのフォアグラをのせ、白トリュフをかけたロッシーニでした。
ロッシーニは通常、黒トリュフを使い、濃厚な感じなのですが、意外な盲点を突かれた感じでした。
上品でありながら爽やかに強烈な白トリュフロッシーニは、この世の食事とは思えないインパクトを体に与えました。
そして、チーズ、デザートも同じようなテンションで続きました。
最後に大量のお茶菓子(これは白トリュフは使われていませんでした)が運ばれ、ノックアウトとなりました。
コースに合わせて、この地域の一番白トリュフに合うお勧めのワインを共にいただいたことも、拍車をかけたのか、足先まで白トリュフに侵されたような感じでした。
おそらく、日本で同じことをしたら10万円では全く足りないであろう量の白トリュフを食べ、倒れこむように朝まで眠ってしまいました。
眠る時も、全身から白トリュフの香りがしているような錯覚がありました。
寝ている間に体の何かが変わったのか、体感覚と脳内部が不思議な感覚です。
これが、不意打ちの様にやってきたので、受け取れているのかどうかも判断できません。
いただいている時は、ただただ驚かされる一方でしたが、単に白トリュフを大量に使っているというわけではなく、全体のバランスとしての完成度も非常に高いものでした。
こちらの様子を見て、どことなく寿司職人のような雰囲気を持ったシェフは、大満足の様子でした。
2012.10.23 17:42 谷孝祐