母の愛2 | ピアソラの蜜柑

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オレンジの街での生活

この仕事の上達の一番の近道は刺青もそうですが、とにかく数をこなすことです。

失敗しながらも数をこなすことによって「私はできる。」という確実な自信が少しずつついていくものです。

自信がつけば自動的に恐怖心がなくなり、
相手に安心感を与え、リラックスさせより良い仕事ができるようになるのです。
どんなことが起こっても「大丈夫よ。」と常に冷静でいることが一番重要です。

特にボディ・ピアスの場合は刺青に比べてお客さんの年齢層が若いので
恐怖心でパニックに陥る子が非常に沢山います。
そこで同じようにパニックに陥っていたらどうしようもありません。

「お金をもらう仕事」にするまでには銀のマリアもまだしばらく練習が必要です。

そこで一体誰が練習台になるのか?



悪いけど、私はごめんです。



刺青と違い、既に死んだ豚の皮では練習になりません。



生きている生身の人間でなければ意味がないのです。




そこで銀のマリアの為に名乗りを上げたのは母である師匠です。



まずは銀のマリアがまだやったことのない舌ピアス。
(舌は血管がしっかりあるのでかなり危険地帯です。)

今日は眉。

これから毎日ひとつずつ師匠にピアスを開けまくるらしいです。



これぞ、母の愛・・・。



「慣れるまで思う存分好きなだけ開けなさい。」

と娘に顔を差し出す師匠。

ヘソ、乳首、表面ピアス・・・ETC。



おそるべし人体実験・・・。娘の為でなければ到底できません。
いや、娘の為でも断るかもしれません。



傍から見ていると銀のマリアは常に淡々として落ち着いているし、
度胸が据わっているようなので今後がとても楽しみです。

銀のマリアには案外この仕事むいているんじゃないかな?と思います。

今日は師匠は顔がピアスだらけになってジャマイカ人のようになっていました。
(穴の痕が残らないようにすぐ外すらしいですが。)

これこそ大いなる母の愛です。

私も見習わなくっちゃ・・・。

ミズエ