母の愛 | ピアソラの蜜柑

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オレンジの街での生活

師匠の娘で女優の卵の「銀のマリア」がスタジオを手伝うことになりました。

銀のマリアは時々モデルをしたりしているのですが、それだけで食べていくのはなかなか難しいことです。

そんな折、「ママ、私ボディ・ピアスを習いたい。」と突然、師匠に言ったそうです。

師匠としても銀のマリアがピアスを習得してくれれば最悪、
誰もいなくなっても母娘でスタジオを開けることはできます。

この仕事の難しさはなんと言っても腕のある信頼できる人材がいかに長く勤めてくれるか、
の一点にかかっています。
腕のある人はいつか必ず独立していくし、
腕のない人では悪い評判が広まってあっという間にお客さんはいなくなってしまいます。

たった3人で廻している100㌫個人プレイの仕事だけれど、
それ故に「代わりの誰か」では勤まらない仕事なので信頼関係も非常に重要です。

なので母娘でできれば願ったり叶ったりです。

先週、銀のマリアはマドリッドで行われた1週間のピアスの講習に行ってきました。

もともとスタジオにはちょくちょく出入りをしていたので
まったくのド素人でゼロからスタートする人に比べたら基本的なことは一通り分かっていたので
飲み込みも早かったようです。

「どうだった?」

と聞くと、

「眉4つと鼻2つと下唇と上唇ひとつずつと
 表面ピアス(皮膚の表面にコの字型の針を通す新しい手法のボディ・ピアス)開けてきた!」

と3日ほど前に満面の笑みで嬉しそうに帰ってきました。

しかしまだ開けたことのない部位も沢山あるし、経験で覚えなければいけないことは沢山あります。
特にボディ・ピアスの場合は針を貫通させるので血管の部位、筋肉の部位などものすごく慎重に
見極めなくてはいけません。



私にはできない・・・。(てか、絶対やりたくない。師匠も同じ。)



「間違ったところに針をブスッと刺しちゃってそこがちょうど血管とかで
 血がどっぴゅーっと噴出してきちゃって止まらなくなったらたらどうするの?」

とベアに聞くと、

「みんな一度くらいそういう失敗して覚えていくもんよ、はっはっは。
 私も始めたばかりの頃、ほっぺたの血管に刺しちゃって血が止まらなくなって
 救急車呼んだことあるもん。」



ぞっ・・・・・。



マジで絶対無理・・・。



耳たぶや鼻くらいならどうってことないですがボディ・ピアスは日々進化していて
日に日にへんてこりんな危険極まる場所にピアスを開けて欲しい、
というちょっといっちゃってるお客さんが増えてきています。

銀のマリアもいくら師匠の娘とはいえ、これだけの練習ではまだまだ全然足りません。

(母の愛2に続く・・・)

ミズエ