今、朝4時です。
火祭りも佳境です。私は眠くなったので先に上がってきたのですが、バーはまだオープン中です。
家に帰ってきてもまだ頭の中で大音響のサルサやボサノバががんがんしているし、愛すべき酔っ払い達のだらしな~い目尻の下がりまくった顔がちらついてすぐには眠れそうにありません。
何がそんなに嬉しいんだか知りませんが、酔っ払いってみんな心底幸せそうです。
今晩はタンゴ・イ・トゥルコの前で巨大パエージャを作りました。
当然は班長はゴルで、数日前から
「スモー取りのTバックを穿いてその上にキモノを着て火で暑くなったらキモノを脱ぐのだ!」
と言ってはりきっていました。
ゴルにマワシでタンゴ・イ・トゥルコの前でパエージャなんか作られた日にゃ
営業妨害になるのでやめてくれ!とみんなに説得されて思いとどまったようです。
火祭りの期間だけウルグアイ人のロレーナちゃんがアルバイトに来ています。
23歳、すごいパワーです。
明らかにそんじょそこらのぬるま湯育ちではありません。
10代の頃から筋金入りの気合でやってきたんだろうな、と思わされる子です。
初日の初めの3分だけ私が上位に立っていましたが、あっという間に形勢逆転。
今はロレーナを師匠と呼んでいます。
私が入れるビールはどうも泡立ちが悪いのが気になっていたのですが
師匠の入れるビールはまるで芸術作品です。
85パーセントの黄金色の液体に上15パーセント完璧な生クリームのような泡。
飲んでも飲んでも泡が消えないのです。
そして常にクリーム状態。
飲んで減っていくグラスに白い泡の跡が地層のように細かく細かくつくほど上手な入れ方だそうです。
私も師匠に入れてもらったのですが、入れ方によってここまで味がかわるものかと感動しました。
その入れ方とはまず生ビールの蛇口を勢いよくマックスでひねります。
初めは泡が出るので透明な黄金色になるまで約0,5秒待ちます。
透明の黄金色の液体になったらグラスをななめにして丁寧に少しずつ立てながら、
上85パーセントまで入れます。
85パーセントまで入ったら真っ直ぐにして手を離し、落ち着かせるため3秒待ちます。
そうするとグラスの中でごちゃまぜになっていた液体と泡が分離するのです。
それからが師匠の腕の見せ所です。
グラスの中のビールが落ち着いたら、グラスの淵に当たるか当たらないかのピンポイントの場所に生ビールの蛇口をほそーくほそーく空け細い細い泡を流し続けるのです。
そうすると肌理の粗いまずい泡だけがどんどんグラスの外に流れ出し、クリームのような肌理の細かい
泡だけが美しく上15パーセントの部分に重なっていくのです。
師匠、すごすぎです。
しつこいようですが、ホントに味が違います。
泡のクリーム状の肌理の細かさによってまず口当たりの柔らかさが全然違ってくるし、
柔らかな感触の後に冷えたキリッとした液体が入るとビールのキリッとさが際立つというか。
とにかく口ではうまく説明できません。
師匠について修行していつかその腕をお見せしましょう。
「ミズエがいれてくれれば、おしっこ混じっててもオレは飲んじゃうよ~~~~」
とほざく夜中の3時の酔っ払いにとってはどっちでもいいことみたいですがね。
でも、生ビールをドイツ人のように完璧に入れられる女ってちょっとかっこよくないですか?
ミズエ