私たちは夢の国にいた。



―――夢の国。誰もが主人公となる国。何もかも忘れさせる国。


確かに、私はディズニーランドが好きだ。

彼女と。仲間と。

年に数回、私は主人公となる。


しかし、「夢の国=ディズニーランド」という常識も、そこでは通用しない。



私とM君は、夢の国の主人公となった。


いや、夢の国の主人となったのだ。

そう、ご主人様に。


この空間に、不幸な人間はいない。

あのエレベーターの扉が開いた瞬間。

突然目の前にお花畑が広がったかのような。

私は心のよりどころを見つけたのだ。




カウンターの横に、同じく主人となる一人の男がいた。

坊主頭のほりの深いその男。カマタテツジ。長野に住むブラジル人。


彼もまたこの国に魅せられた男の一人なのだろう。

不意に思わず出る笑顔に嘘はない。


夢の時間はあっという間に過ぎ、記念撮影の時間が。

M君は恥じらいながらも、「萌え」ポーズをとる。


チェキの中には、私、M君、ミサミサ、そして、テツジ。




お前だれやねん。





本日は大学のアメフト部の練習へ。


練習より何より、朝の大学までの自転車がつらい。

昨日の筋トレの筋肉痛、暑さ、そしてタイヤの空気のなさ。


昼の休憩中に、ちょっと前に流行った?

「もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

を読んでみた。


どんどんページが進む、それに連れどんどん眠気が襲う。

結局睡魔の負けて、断念・・。


最近、極力ノンアルコールビールを飲むようにしている。


体のため?

お金のため?

彼女に怒られるため?


良く分からないが、分かったのは、俺は酔いたいんじゃなく「のどごし」が欲しいだけだったようだ・・


でもやっぱりスーパードライが良い。

顔・体に似合わず、私はゆっくりした歌が好きだ。

カズン「冬のファンタジー」
ジャングルスマイル「おなじ星」
顔に似合わず、着うた。


そして今日、念願であった川嶋あいのコンサートへ行ってきた。

ずっと前から好きだったが、コンサートに行こうという考えに至らなかった。

唯一、全ての曲が好き。
どれを聞いても好き。
顔も、まぁ好き。

確かに、今年の「夏の一曲」は「ポニーテールとシュシュ」だ。
間違いあらへん。

しかし、高校時代からずっと聴きつづけた川嶋あいの声には勝てない。

とある後輩がIWiSHの「明日への扉」を深夜のカラオケで歌ってくれた。

私はただ一人涙を流した。
酔ってはいたが、鮮明に残る。


そして今日。
生「明日への扉」。
また涙が流れる。

これからもこのサラリーマンの心を癒す歌声を聴きつづけたい‥

3度目の秋葉原。


私たちは更に足早に進む。

いや、私がM君をせかすように歩いているのだ。


道ではいわゆる「メイド」たちが呼び込みをしている。

私は、以前立ち寄ったメイドカフェで仲の良くなったメイドを見つける。

私のテンションが上がったのをM君も感じていたかもしれない。



私がM君を秋葉原に誘った本当の目的、それはまさにメイドカフェであった。



少し躊躇するM君を半ば強引に説得し、とあるメイドカフェへ。


見慣れた部屋。聞きなれた音楽。

私の心は躍った。




ここでの1時間の出来事。2人の感情の変化。そしてあの写真。

私たちは何か取り返しのつかない世界に入ってしまったのかもしれない。



続く。か分からない。




M君を説得するのは容易であった。

いや、初めは難色を示していたが、実は彼も望んでいたのかもしれない。




―――2人は秋葉原の地に降り立った。


暑い。日差しはまるで体を突き刺すかのように強かった。

足早に、2人はドン・キホーテの最上階に向かっていた。

分かっている。予約もなしに行っても、公演が見られないことは。

しかし、その扉の向こうには、確かにAKB48がいる。

数時間前、パソコンのディスプレイの中にいたAKB48が、そこにいる。

ただ、それだけを感じたかった。


展示をもの珍しそうに見て回るM君。

興味ありげな表情だが、果たして本当にそうだろうか。

私にただ付き合ってくれているだけではないのか。


しかし、私がM君を秋葉原に連れてきた本当の目的は、別にあった。

今までの2人を大きく変えてしまったもの、それは―――


続く。