VEGAS TO GRAND CANYON 【DAY4-1】 ~馬に乗ろう!~
・・・・・・。
エアコンのモーター音が耳について眠れない。昨夜は寝付けなかったので、意識が自然に
遠のいてくれてもいいのに・・・。
さらには僕がいま横たわるベッドの最上段は、部屋のど真ん中ということもあり、直接
エアコンの乾いた風が吹きかかり、喉に深刻なダメーシを与える。咳き込みながら、ペットボトルの
水を少しずつ口へと流す。しかし今度はそれが原因でトイレに行きたくなる。
明け方頃にようやくウトウトし始め、夢の中へ・・・と、思った矢先にRichardの声が響く。
「さぁ、そろそろ起きる時間だ!」
顔を洗って戻ってくると、テラスにはすでに朝食が用意されている。ベーグルを薄く半分に
割り、ガストースターで焼く。その間にインスタントコーヒーを入れ、気分を落ち着かせる。
ガストースターはパン3枚分のスペースしかない。まだ誰もいないのをいいことに僕が2枚分の
スペースを使っていたため、後から来たHattyは半分に割ったベーグルの片方だけ乗せて、
残り半分は待ち状態。
片面だけ焼き上げて場所を譲ってあげる。
それにしても口の中でモソモソし、なかなか飲み込めないベーグルは、この乾燥地帯に適した
食べ物とは言い難い。

一度に3枚まで。 もう半分は待ち状態。
荷物をまとめ、いつでもバンに積める状態にしておく。ハーフパンツなどの乗馬の後の着替え、
昨日行くことができなかった湖へ行った場合の水着など、細かく分けておく必要があるので、
案外時間がかかる。
ホースライディングのガイドが迎えに来た。しばらくの歓談後、軽トラックの荷台に乗り込む。
もう少し寝ていたいと、朝になってRyanはキャンセルしたようだ。彼も最上段だったので、
エアコンで眠れなかったのかもしれない。
まだ8時を回ったばかりだというのに、すでに日差しが強く、気温も急上昇。以前は
グランドキャニオンの強烈な日差しから見事守ってくれた皮製の帽子が、今回は蒸れてしまって
仕方がない。そもそもエクアドルの山奥で買ったものなので、どちらかといえば防寒用なのかも
しれないが、それにしてもあの感動さえ覚えた完璧な仕事っぷりは一体何だったのだろう。

「Ryanが起きない」とJolie。 結局キャンセル。このメンバーで出発!
飼育係と思しきキャップにサングラスの男が1頭ずつ馬を引いてくる。我々の体型を見比べ、
順番に適した馬に乗せていく。その際、馬の性格や扱い方などの説明をしてくれる。
「この馬の名前は”Apple”。歩くのが大好きで走ったりしないから、基本的に手綱は緩めて
おけばいい。
ただし、前の馬に近付き過ぎた時だけ手綱を引いて、間隔を取ってあげてくれ」
なるほど、おとなしくて扱いやすそうだ。
「あとイライラしてきたら後ろ足で地団太を踏むから、こうやって尻をなでてなだめるんだ、
『おぉ、よしよしApple。リラックス、リラックスだ』」
気性は激しいの?前言撤回。

ガイドから簡単な説明を受けた後、同意書にサインする。 一人ずつ乗せてもらう。

Appleと僕。 僕には冷たいが、犬にはやさしい。
赤土の大地を一行は歩き出す。ポクポクとゆっくり、往年の冒険家を思わせるように。
ただ踏み固められてできただけの道は、どこまで、どのように続いているのか予測が難しい。
ガイドを先頭に、我々はその後を付き従っていくだけだ。
Appleは説明の通り、ひたすら黙々と歩くことに夢中。あまりに夢中になりすぎて、前の馬の
尻に頭をぶつけてしまいそう。その度に手綱を引き、距離を置くように調整するのだが、
お楽しみを邪魔されたせいか、少々苛立っているのがわかる。
牧場から黒とグレーの2匹の犬もついて来る。ちょこまかと隊列の間を横切ったり、
あちらこちらへ縦横無尽に駆け回ったり、まるで疲れることを知らない。
・・・と思ったら、ちゃっかり木陰で休んでいたりする。
その脇を我々が抜き去ると、また元気に走り抜ける。


川の跡だろうか、岩山に沿って浸食によって削られたような溝が走る。その底を歩いてみたり、
幅の狭い尾根のような道を歩いたりするのだが、やはり基本的に列は崩さない。
いつだって目の前はDominiqueのストライプのパーカーだ。
前後のスペースに注意しながら手綱を操るのだが、接触されたのか、Appleが真後ろに位置する
Ginaの馬にキックを放つ。すかさずキャップの男に叱られるApple。しょんぼりしてしまう。

・・・飽きてきた。
思いきり走らせてみたいのだが、低い木々や岩も多く、それができる場所でもないのだろう。
それにしても一体どれくらいの時間、馬に揺られてきたのだろう。新鮮に見えた荒涼とした風景も、
今となっては変わり映えの無い退屈な風景となってきた。
そんな僕の気持ちを代弁するかのように、Dominiqueがガイドに物申す。
「すみません、戻るまであとどれくらい時間がかかるのですか?」
「あと30分くらいかな?どうしたの、飽きちゃった?」
よしよし、そこで言ってやるんだ!「少し走らせたい」って言ってやるんだ!
「いえ、なんだか酔っちゃって・・・」
そっちー!?
”馬酔い”って・・・はじめて聞くな。しかし広大な荒野にバスや電車の姿はもちろん無い。
辛いだろうが、馬に乗って帰るしかないのだ。

古い小屋の間を抜けると、今にも干からびそうな川へと出てくる。2匹の犬は猛ダッシュ!
わずかに溜まった水の中で、楽しそうにはしゃぎ回る。さぞ冷たくて気持ちが良かったのだろう。
せっかくの美しい黒とグレーの毛並みを、全身泥まみれにして戻ってきた。
)

来た道をポコポコ戻り牧場へ。一人ずつ下ろしてもらい、息つく暇もなくトラックへ。宿まで戻る。
果たしてDominiqueの馬酔いは平気なのだろうか?
冷蔵庫の前では、残り少ない冷えたペットボトルの水の争奪戦。そこに嬉しそうに水をゲットする
彼女の姿を発見。どうやら大丈夫そうだ。


◇◆比べてみよう◆◇
今も昔も考えていることは同じらしい。

'04スタイル '12スタイル































































