2024年5月26日放送の籠釣瓶を見ていろいろと感じた。まず、次郎左衛門の勘九郎、八つ橋の七之助、どちらも仁にはまり、見ごたえのある芝居を見せた。勘九郎は醜い男の哀れさ、可愛さがあって、終盤そこに怖さもたたえていた。ただ、八つ橋に切りかかるところ、ぽんと飛ぶのは忍者っぽい。七之助も見染の場の笑いが自然であでやかだった、栄之丞に次郎左衛門と縁切りするよう責め立てられるところも女の哀しさを出す具合も良かった。縁切りも心ならずもの感があった。ただ、次郎左衛門に切りかかられるところ、海老反りが長く大向こう受けするのは難。あと中村屋兄弟と松緑は演技の質が同じだが。仁左衛門は彼らとは演技の質が違うことは実感した。これが八つ橋が玉三郎なら同質だったろう。仁左衛門の色男ぶりは貴重だが。それと、次郎左衛門が八つ橋を切ったあと、過去私が見た記憶では今回は二人だけだったが、もっといろいろな人が切られていたように思う。何せ吉原の百人切りと言われた芝居だし。それから児太郎の九重が、こういってはなんだが、ゲキ太りをしていて、あれでは将来八つ橋をやるのは無理だ