12日に歌舞伎座昼の部「金閣寺」を見た。個々の役者が粒ぞろいであることを求められる芝居で小川家のそれぞれが役割をきちんと果たしたことを褒めたい。

まず、時蔵の雪姫だが、最初はやや大人しく、大膳に言い寄られて困惑している色気があまり出なかったが、一人舞台となり、爪先鼠の件になると舞台一杯に広がる艶やかさや貫禄が増して良い出来だった。古風な顔立ちもこの役に適していたと思う。

松永大膳の獅童は背丈もあり、王子の鬘も似合い、この役にぴったりだと思った。あと求められるのは古怪な味と色気だろうか。最後、二重にあがり、槍を横に持ち上げた見得は立派に決めていたと思う。

隼人の久吉は生締めの鬘がよく似合い、動きもキビキビした二枚目がぴったり合う。今後ともこういう生締め物、石切梶原や実盛物語などをこなしていってほしい。

軍平の歌昇は古風で目遣いにいい意味の色気があり、良かった。肚で芸の出来る人なので、今後も義太夫物のいろいろな役に期待がかかる。

種之助の鬼藤太は赤っ面がよく似合う。甲の音遣いがいいので、歌昇共々様々な役をこなしていってほしい。

狩野之介の米吉は最初、その配役に驚き、立ち役をどうこなすのかと思ったが、意外にも良い出来。露芝の衣装がよく似合い、雪姫への思いもしっかりと見せた。

錦之助の慶寿院尼は、立ち役の豪快な役から二枚目まで幅広くこなしているから不安はなかった。期待通り、老けの高貴な女形を立派にこなしていた。

これら全ての役を小川家の人たちが演じているし、それぞれの役を他の役をやっている役者が出てもいい。例えば米吉が雪姫で時蔵が狩野之介でもいいし、錦之助が久吉でも良い。今や歌舞伎の舞台で小川家の人たちが活躍しない舞台はない。今後ともその実力を発揮して舞台を締めていってほしい。