ヘアメイクと云う立場上、当然、目的に会ったスタイリングに神経を集中することになるのだけど、とは云っても、ここまで撮影に立ち会ってカメラマンとのコラボで一つの画像を生み出す事が主体になると、表面的な部分に関しては、それほど絶対的な物ではないと感じます。それよりも、今からポージングをしたり、笑顔を作ったりする時点でどんな問題が続出するかを察知して、それを出来るだけ回避する方法を模索することが重要になるのです。なので、カメラマン目線で被写体の人を観察してしまうので、「撮影もされるのですか?」という質問をよく受けます。完全に領域を侵してるな、と思う瞬間です。しかし、条件反射のごとく神経が行ってしまうので、表に出さないようにするのはムリというもんです。うちのスタジオの場合は完全に分業は有り得ません。オーディション写真は書類が通過しないとその先がないわけで、スタジオにいるすべての人間が自分の持つ最大の力を発揮しないと達成できないのです。
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AKBの大阪版、東宝シンデレラなど、7.8月は中高生のオーディション写真が多かった。中には学校の先生をしている人も居て、受かれば即、「やめます」と云う感じ。熱狂的なファンが多かった。でも、注目すべきは、この熱狂的集団を見事に計算ずくで作り出すクリエーター連中。恐るべし。世の中を動かすのは政治家では無く、まさにこの人たちである事を実感する。モーニング娘に傾倒し、誰しもがその仲間に入りたくてオーディションに殺到していた女の子は民族大移動のようにすっぽりとAKBに乗り換えた。ここまで意のままに大衆を操れるとは、これを別の分野に生かせない物かと真剣に思ってしまう。中高生を相手にしゃべりながらのメイク中、「意味がわからん」を心の中で繰り返すおばさんにはクリエーター連中のかけらも彼女たちの気持ちがわかってい ない。付け加えるなら、本人以上に真剣に応援している彼女たちのお母さんの気持ちはもっと理解できないのですが。
職業柄、その人の顔を瞬間的に頭にインプットしてしまう癖があるので、何年か経ってもまず顔を忘れると言うことはないのだけど、名前に関しては全くと云っていいほど覚えていない。ところがカメラマンは、撮影中、人間の顔を完全に物体化して分析するので、撮り終えた瞬間には殆どその人の形跡は忘れ去っているらしい。へぇ~そこまで職業によって人の顔の捉え方が違うのかと感心。ヘアメイクの場合は、鏡の中に存在するイメージを少しづつ作り上げて行くので、エネルギーを爆発させる感覚は無い。無言で作業に没頭すると言う事もないし、一般のオーディション写真やプロフィール写真の場合は、結構ゆったり時間を使っていると言える。確かに撮影 中のフォトグラファーはさしずめ短距離ランナーみたいに短時間にいろんな作業をこなしている。フレーミングはしないといけないわ、テンションは上げないといけないわ、ポージングの指導や表情のアドバイスといろんな事を瞬時に判断しながらのワークフローは正にスーパーマン。なんて大変な仕事なんだろうと今更ながら思ってしまう。アタシにはぜったいムリ。