先日ブラジル音楽界の奇才、エルメートパスコワール率いるバンドのベーシスト、イチベレ ズワルギ氏のワークショップへ参加しました。


《ムジカ ウニベルサル 》
誰もが参加出来る偏見なき音楽。
楽譜なし。イチベレ氏が断片的に思い浮かんだ即興のメロディを、それぞれのパートにピアノや歌で伝え続け、耳を頼りに一曲を作りあげる。4時間休憩なし。




目の前で繰り広げられる即興作業。
その神業にただ驚愕しつつ、見知らぬ者同士、ブラジル音楽の達人もブラジル音楽に関わりのない人もいるこの環境で、喜びに溢れたこれだけの音楽が成り立つ理由を探していました。

いつ自分に役割が巡って来るかの緊張感。
1つのフレーズが出来上がった時の感動。
リーダーの元、誰もが少しの不安と達成感とを共有する事でお互いを受け入れる温かい気持ちと、同じ方向へ向かう喜びが会場に蔓延していたと思います。
誰かが達成した喜びを仲間として共有し自然に拍手が沸くような環境では愛情ある音楽しか生まれようがなく。
世界平和の縮図のような光景にさえ見えると言ったら考え過ぎなのかな…と漠然と感じた気持ちは最後のイチベレさんのご挨拶で腑に落ちたのでした。

「人類の未来は我々ミュージシャンが担っていると言っても良いのではないか。政治家が喧嘩をしている間に、私達は愛ある音楽を奏でよう」

この日学んだ同じ方法を、イチベレさん抜きでも出来るようになる事。お互いの音、存在に尊敬を持って耳を傾ける。受け入れる。

日本人ミュージシャンにとって、とても難しい課題を突き付けられた気がします。でも、愛ある音楽はそこからしか生まれないのでは。


このワークショップを紹介してくださり
参加に迷う私こ背中を押してくれた友人達と
主催のギタリスト、阿部浩二さんに心から感謝します。