タイプ論について、まとめを行っていく。


タイプ論はユングが引きこもっていた時にデザイされた理論であり、準備期間が長っただけに完成度も高い。


まとめ上げるとA4の用紙1枚があれば何とでもなる理論であるが、原文で読むにはあまりにも膨大なページ数である上、英語に翻訳されたものであってもヨーロッパにおける小説、神話、昔話などの予備知識がなければ読み進めることは非常に困難である。そして、私も非常に苦労した。


タイプ論はこの後に続く曼荼羅や中国哲学の研究に通じていくことになり、とりわけ、元型における老賢者や自己を理解していくにはタイプ論をマスターしていることが前提となる。これ故にユング派にとっては一つの経典のような役割を果たすのがタイプ論である。


タイプ論において、とりわけ日本で有名になったのは外向と内向であろう。この言葉が独り歩きし、その源泉が何かを知る人はほとんどいないかと思うが、人間の性格における外向と内向を作り出したのはユングである。


現在の日本ではSNSにおいてフォロワー数が多ければ多いほど外向的と判断される傾向にあるが、ユングのタイプ論において、それは間違いとなる。心のベクトルの方向性の違いによって外向と内向が決まってくる。この点が一般の人々との解釈と異なる点であろう。


何より、タイプ論は他者を診断するためのものではなく、自分自身を診断するために開発されたものである。ここを勘違いしては本末転倒となる。


ここで少しタイプ論を応用してみると、結婚相手を選ぶ時の基準の一つとして使う事が可能であろう。


例えば、内向的思考型の人が結婚相手を探す時、相手は内向的感情型の人を探すと上手くいく可能性が高い。機能については異種を選ぶと大変な事故に発展するかと思うが、態度については自分の劣等機能を補う人物を対象とすることで、夫婦として幸せな日々を送れるはずである。


結婚ではよくお互いの劣等機能を補う事で成功するといわれるが、タイプ論からすると、機能ではなく態度について劣等機能を補える相手であれば、この仮説は成り立つと思われる。いずれにせよ、やはり自分自身の性格を知らなければ相手を選ぶことは不可能である。


心理学を使って結婚相手を選ぶなど、邪道に過ぎる!との声もよく聞くが、タイプ論はそもそも自分自身の性格を知るためのツールなので、邪道には当たらないと思う。むしろ、豊かな人生を送るためにはこの理論を積極的に活用し、自分自身を高めていく事が必要ではなかろうかと思う。


タイプ論を知ることにより、読者諸氏の生活に充実感を得られる日々が来ることを願っている。