前回は大阪型の特徴からみるNo1になる方法を考えてみました。それは法律や道徳を無視した方法でありますから、あのような考え方もあるとご理解いただければ幸いです。

 

例えば、遠山の金さんをもう少し深く考えるのであれば、現場に一番出ているのは支配者となります。さて、これをどのように解釈するかであります。

 

暴れん坊将軍と水戸黄門にしてもそうでありまして、最も現場に出て頑張っているのは支配者であり、かなり複雑な思いとなるのであります。ただし、水戸黄門は老賢者や自己の領域にまで達する深いストーリーが一話で完結されるようになっており、ここが水戸黄門の見どころであり、長く続いた要因ではなかろうかと思われます。

 

複雑な思いは残るものの、できる偉い人は現場を知らなければならないことを教えてくれるのもまた上記の物語の特徴であります。

 

さて、これまでは男性が主体の物語をお伝えいたしましたが、『いじわるばあさん』という女性が主体のトリックスターも我が国には存在します。この物語ではトリックスターが意地悪であるとタイトルからして定義されているのですが、実際にはコメディーでありますので一般的な意味での意地悪とは違っており、しかしながら、トリックスターの特徴をわかりやすく伝える作品であると私は個人的に思っております。

 

ここでトリックスターの結婚について考えてみましょう。これについては河合隼雄博士が既に述べておられますので、そちらを参照していただきたいのですが、ここでは私なりの解釈を述べてみようと思います。

 

これも空想していただくと面白くて笑いが止まらないのですが、遠山の金さんといじわるばあさんが結婚するとどうなるのかを考えてみるとよくわかるかと思われます。彼らは同じカテゴリーに生きる人間でありますが、引き合わないのであります。「気の合う人と結婚する」というのはまさに「理想」でありまして、現実とは異なります。トリックスター同士が結婚するとどうなるのか?と考える時、直感的に「破綻」を想像することができませんか?となります。

 

毎日街に繰り出して民衆から様々な情報を引き出す正義の味方の遠山の金さん、そして意地悪とはいわれながらも意地悪を通じて世直しをするいじわるばあさん。共に家にいる時間はほとんどなく、世の中には優しいが、家庭は崩壊となることは簡単に想像がつきます。ここで具体的な私なりのストーリーを示すと面白くなるのですが、そうすると遠山の金さんやいじわるばあさんの名誉を傷つけることになりますので、これで終わっておきます。

 

ここでハリウッド映画の話をしてみようと思います。『トゥルーライズ』というスパイ映画がりまして、これは団塊ジュニア世代であるならばリアルタイムで映画を見た方も多いのではないでしょうか。私もその一人でありまして、この映画を見てこれまで私の中ではそれほどの存在感ではなかった女優であるジェイミー・リー・カーティスが、かなり上級の存在感となった映画であります。

 

この映画の特徴はスパイ活動を夫婦で行うことが軸であります。その意味でトリックスターの結婚と似たような話になるかと思いきや、この夫婦は非常に円満であることが第二の特徴となります。この差は何であろうか?となるのですが、それはアメリカ映画のお決まりである「ハッピーエンド」が大きくかかわるからだ!!という見方がほとんどであるかと思われます。しかし、木に竹を接ぐようなハッピーエンドではないことに注目すると、やはりどこかに法則のようなものがあるのではなかろうかと私は思っております。

 

もう皆様方はお気づきであるかと思われますが、もともとセパレートなトリックスターの男女が出会って結婚するのではなく、そもそも一般的な夫婦であった男女がのちに夫婦でスパイ活動を行い、それも立派な業績を残すという展開であります。これはどこかで見たパターンではありませんか?、そうです、遠山の金さんなどのストーリー展開と同じで、あらかじめの役割設定が十分に行われていることであります。

 

見知らぬ異性のトリックスター同士が結婚することは非常に困難である反面、もともとの夫婦が夫婦でトリックスターになることは簡単なのであります。ここが実に面白いことであり、私なりの発見であります。これを応用すると様々な面白いことがたくさん考えられますが、ここでは人権の観点からこれ以上、書くことはしません。

 

ではなぜこのような事例を示したのかですが、ここに福岡型が重要な意味を持つと私は考えております。人工的なトリックスターの結婚譚を述べるよりも、自然に福岡型と大阪型とに区分される我が国の人間模様を大切にすることが何よりも大切なのではなかろうかと私は思っております。

 

福岡型と大阪型とが結婚するとどうなるのか?ですが、これは見知らぬ異性同士のトリックスターの結婚を考えるよりもかなりスムースかと思われます。大阪型が大阪型として大きな成功を見た後に、福岡型と大阪型とが統合することにより国として大きな発展が発生するものと思われます。ある一つの枠(例えば、もともとの夫婦をスパイにさせるなど・・・)の中で核を変化させるだけではただの細胞分裂であります。これが他のものと統合することにより大きな意味を持ち、そこに命という概念が生じます。命を吹き込むのではなく命を作ってゆく作業を考える時、非常にファッショナブルなスパイ・・・ジェームス・ボンドなどが生まれてくるのではないでしょうか。

 

続きは次回へ譲ることにします。ご高覧、ありがとうございました。