この連載も12回を数えるようになりました。こうなりますとダラダラと長く、話のまとまりがなくなる危険性が高くなるのですが、連載の全てで一つの話とするのではなく、なるべく一話完結で終わらせるように心がけておりますので、もうしばらくのお付き合いをよろしくお願いします。そして、芸能界や芸術の世界にてプロとして活動したいと考えている方々のお役に立つことができれば、私としてはこれ以上の幸せはありません。

 

前稿では大阪型の元型の使い方について述べました。ここで感じていただきたかったのは、そのパラドックスについてであります。カッコ悪いことをするにもかかわらず、それなりの費用が必要となることであります。カッコ悪いことをいうために、それなりの知識なりの経験が必要となり、よって、意識のレベルでは頭の良い人がアホなことを言って人を笑わせるという構図になります。これほどのパラドックスは他にあるでしょうか?と問いたくなるくらいに不思議な現象であります。しかし、これが芸術なのであります。

 

そして今回は福岡型について述べてみますと、これも基本的には大阪型の流れと同じであります。しかしながら、「同じ流れとは?」という質問が必ずきますから事例での説明を行うことにします。

 

福岡型の最も端的な例はやはりアニマ・アニムスを使ったものでありましょう。とにかく見た目を派手に、カッコよく、そして、そのような生き方を実践する・・・これが福岡型の特徴であります。よってペルソナもこれに準じたペルソナとなります。理論的には大阪型よりも一貫性のある戦術であるのは確かなことであります。人前に出る人・・・カッコいい!!・・・ぜいたくな生活!!まさに芸能人の理想形であります。しかしながら、よく考えていただきたいのは、このような生活は実際にはお既にお金を持っている人ができることであり、駆け出しの芸能人ができることではありません。ではどうするか?衣装を自前で作る、食事も派手に見えるようにデザイン的なことを考慮する、全てのものやことにかんして、費用は安いが、高級に見える戦術をとることになります。

 

ここでわかることは、費用は安くなるかもわかりませんが、生き抜くための高い知識が必要となり、その知識とは何かというと、高い芸術性となります。元型の使い方としては大阪型と全く逆の方向性となりますが、どこかで大きな費用が発生している部分については大阪型も福岡型も共通する部分であります。ダメ人間を全面的に出すために費用をかけるのか、それとも、費用をかけずにセレブとして活動するのかについての違いがあり、どちらを選ぶにしても、芸能や芸術が心の底から好きでなければできないことではなかろうかと思われます。

 

費用という言葉をどのようにして本稿において概念化(専門用語化)するかについてを議論しなければならなくなってくるのですが、難しい話は横においての話となりますと、費用とは、人間がある目的をもって活動するときのカネ、時間、労力の総合と判断しますと、大阪型も福岡型も共に同じくらいの費用が発生するが、入りやすいのは福岡型ではなかろうか?と思っております。しかしこれも私が思っているだけの話でありまして、否、大阪型の方が入りやすい!とするご意見も多数あるはずです。ところがですよ、大阪型の皆様方、とりわけロックバンドのミュージシャンを例にして話を進めますと、ギタリストの皆様方、ギブソンやフェンダーの、しかもカスタムショプ製のギターを使いたいでしょう??そして、現に既に手にしている人はいませんか?食費を抑えてお金を貯め、高級ギターを手にして至福の時を感じている大阪型のギタリストは多いはずです。

 

こうなると面白くなってきました。福岡型の人もこのようなことはありませんか?それは、ボロボロの衣服で目立ちたい・・・。例えば、見た目はボロボロでも、実はビンテージの衣服であり、そこを楽しんでいる福岡型の人も多いはずです。天神の街を歩いておりましたら、そのような人を多く見かけます。

 

このように考えてみますと、元型の中でも第一義的な元型であるアニマ・アニムスを使った元型から元型を知り、その後に大阪型へ入ってゆく方が入りやすいのではなかろうかと私は思っております。そうはいっても上述のように大阪型も福岡型も根本は同じでありますので、共通する部分もあれば、元型の使い方が逆になっているときもあります。しかしながら、意識のレベルでは大阪型や福岡型という型が存在し、そこを客体との違いとして(差別化)生きている日本人の姿があります。私の個人としての意見は、大変面白い現象であり、これが日本の特徴であり、国際的な競争力の源泉であると地球規模でアピールできるようになると、より素晴らしい経済が我が国を強くしてゆくのではなかろうかと感じております。

 

ご高覧、ありがとうございました