80年代を象徴するイラストレーターとして、鈴木英人、永井博を紹介してきましたが、3大イラストレーターを上げるとしたら最後の1人は、この人 わたせせいぞうです。
わたせせいぞうは、ハートカクテルで一躍時の人となった漫画家ですが、同時にイラストレーターとしても活躍しております。
彼の初期の作風はアメリカンオールディーズを意識した作風で、本人も言ってましたが、それは幼少期のときに父親からおみやげで貰ったアメリカンコミックスの世界を表現したかったからだそうです。
鈴木英人、永井博のように海や夏を舞台にした作風も多いですが、2人と決定的に違うのは、わたせせいぞうの作品は人物をフューチャーしつつ、四季折々の和の世界も描いているところじゃないでしょうか。
彼の作品で僕が好きなのは、月刊シンドバットという雑誌で連載していた「ブルースカイ探偵局」、初の長編作品「ハリケーン」、ハートカクテルからスピンアウトし、月刊小説王で連載していた「ジェシイズ バー」、それと「スローな洗濯船」「チョーク色のピープル」などの単独で単行本化されていない作品ばかりですね。^^;
そして彼もまた多くのレコードジャケットのデザインを手掛けています。
ラテンピアニストの松岡直也とのコラボで、映像化されたハートカクテルのBGM集のジャケットや、それが縁でか?松岡のアルバム「SPLASH&FRASH~遅い朝にはビールを」、またTUBEの「BOYS ON THE BEACH」のデザインなど、他にも多数あります。
わたせせいぞうは、小説作品も手掛けており、その文才を活かして作詞などもやっていました。
先ほどのTUBEのアルバム「BOYS ON THE BEACH」で、「MORNING CALL FROM THE BEACH」という曲の作詞は、わたせせいぞうの作詞なのです。
わたせせいぞうの作品は、ほんのり切なくて、また勇気づけてくれる作品です。
20代の頃、傷ついたり、少し笑ったりして送っていた毎日…。
思いだすとわたせせいぞうの作品が、いつも側にあった気がします。