ダークナイト 最終話 (夏詩の旅人 3 Lastシーズン) | Tanaka-KOZOのブログ

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★ついにデビュー13周年!★2013年5月3日2ndアルバムリリース!★有線リクエストもOn Air中!




 バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!

誘拐されたミユキを救出に、デッシマンのバイクが有り得ないスピードで、新青梅街道を疾走する!
時速は既に500Kmを超えていた。

ヒュンッヒュンッヒュンッ…。


車と車との僅かな隙間を縫う様に、デッシ・ハーレーがジグザグ走行でかわしながら走る!

「すげぇやッ!、すげぇテクニックじゃねぇですかい中出氏兄ィッ!」

「ふふ…、このバイクは強力な電磁波を発生させながら走っているのです…」

「電磁波?」

「そうです。電気が発生すると電場が生まれ、磁気が発生する場所には磁場が生まれます。これを合わせたものが電磁波です」
「電気にはプラスとマイナスがあり、磁気にはN極とS極がありますよね?」

「へぇ…」(頷くハリー)

「物質とは、全てにおいて僅かながらも電気が、静電気が発生しています。このバイクもあの車も人間も全てです」

「ハリーさん、磁石のプラスとマイナスはくっつくけど、プラスとプラスだと反発し合いますよね?」
「このバイクが他の車両にぶつからない原理もそういう事です」
「ぶつかりそうな対象物に対して、瞬時にその対象物が発する電極と同じものを、このデッシ・ハーレーが発生させ、互いを反発させる様にしてるのです」

「つまり相手から勝手に、こちらを避けてくれるというワケですかい?」

「そうです」

「でも、そんなことしたら相手の車は押し出されて、クラッシュしちまいやせんか?」

「大丈夫です。我々が通過中に、今度は逆の磁力へと瞬時にリバースさせて、対象物をすぐ引き寄せます。このバイクは、それをオートメーション化しているのです」

「何だかよく分かりやせんが、とにかく凄い装置が付いているってことでげすね?」

「お分かりになりましたか?」

「いやぁあんま良くは…、」と言ったハリーが突然叫んだ!

「ああッ!中出氏兄ィッ!、前ッ!、前~ッッ!」

前方には青信号で横断歩道を渡る老婆の姿が…ッ!

「間に合わねぇッ!」
顔を伏せるハリー。

「むんッ!」
ハンドル右側のボタンを親指で押すデッシマン。

バシュッ!

デッシ・ハーレーの車体下部からスノボの板みたいなものがイキナリ飛び出した!
その反動でバイクは上にジャンプッ!


大きな弧を描き、デッシ・ハーレーが信号上空をフワ~と飛び越える。

「あわわッ!」
老婆はそう言いながら空を見上げ、驚いた表情でデッシ・ハーレーを見た。

ザンッッ!
着地するデッシ・ハーレー。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
バイクはそのまま減速する事なく、物凄い勢いで老婆の元から去って行った。


「すげぇじゃねぇすかい中出氏兄ィッ!、まるでタツノコプロの“マッハGOGO!”のマッハ号じゃねぇですかいッ!」
ジャンプしたデッシ・ハーレーに、声を躍らせたハリーが言う。

「実はこのバイクは、マッハ号を開発した三船モータースに発注して作っていただきました…」

「えっ!?、三船モータースって…、アニメの世界の話じゃねぇんでやすかい?」

「ふふ…、あの会社は本当にありますよ」


「今では当時ドライバーだった息子の三船剛さんが、お父様の後を継いで立派にやっておられます」

「有り得ねぇでやすよぉッ!」

「私の人生、“バーリトゥード(何でもアリ)”ですから…」
そう言うとデッシマンはハンドルレバーを握りながらニヤリと笑った。



 青梅市沢井町にある駐在所
警察官の寺島イサムは駐在所の前に立って、大きく伸びをしていた。

「ふぁああああ…、ヒマだなちくしょう!」
寺島がそう言うと、彼の胸元にある無線マイクが鳴った。

ピィピィ…。


「はい、寺島ぁッ!」
無線を素早く取った寺島が言う。

「寺島君…、私だ…」
独特のしゃがれ声が無線から聞こえて来た。

「えッ!、その声は、署長ですかぁッ!?」


「ふふふ…、そうだ私だよ…、平泉だよ…」
無線の主は青梅警察署の署長、平泉からであった。

「署長、一体どうしたんです?」

「寺島君、デッシマンが現れた…」

「えッ!、デッシマンって、あのデッシマンですかい!?」

「そうだ。やつは現在あり得ない速度で青梅街道を走行中だ」

「有り得ない速度!?」

「うむ…、推定時速800Kmで走行中だと報告が入った」

「はぁッ!、800Km~~~ぉぉおおッ!?、あんな狭いジグザグの道をですかいッ!?」

「そうだ。だから署の車両では、誰も追いつけず、やつを止める事が出来ないのだ…」

「そりゃそうでしょうね…」

「そこで君に頼みたい…、デッシマンを止めてくれ!」

「ちょっと待って下さいよぉ署長~!、いくら何でも、私にどうやって800Kmで走ってるやつを止めろって言うんですかぁ~?」

「ふぉっふぉっふぉっ…、知ってるぞ寺島君…」

「なッ…、何をですかいッ!?」

「青梅警察をナメてもらわんで欲しいね寺島君…。君の過去を我々が知らないとでも思っていたのかね?」

「……ッ!」

「君は若かりし頃、伝説のライダーとして、この奥多摩の峠を滑走する、誰よりも早い走り屋だったってことをね…」

「知ってたんですかぁ署長ッ!?」

「ああ知っている。君が“黒豹”と呼ばれ、この奥多摩の峠では誰にも負けなかったライダーであった事もね…」

「ううッ!」

「その“黒豹”と呼ばれた謎の男は、警察に一度も掴まる事なく、30年前に峠から忽然と姿を消した」
「そのタイミングは、君が警察官になった時期と重なる…。違うかね?」


「峠から消えた君は、伝説のライダーとして語り継がれ、あの池沢さとしが描く、“サーキットの狼”に登場した“ハマの黒ヒョウ”のモデルにもなった」

「まいったなぁ…、平泉署長は何でもお見通しなんですね?」

「寺島君!、デッシマンを止められるのは世界広しと言えども、君しかいない!」
「やつは青梅街道を爆走中だ。君は吉野街道から回り込んであいつを止めるんだ!」

「止めろって言ったって、それに対抗するバイクがなきゃ無理ですよ署長」

「ふふふ…、寺島君、駐在所の犬小屋の柱を押してみたまえ…」


「へっ?、ポチを繋いでるあの柱の事ですかぁ?」

「そうだ」

「押す…?」

ガクンッ!
寺島が柱を上から押すと、その柱が沈んだ。

ゴゴゴゴゴ……。
すると駐在所前の地面が割れて、何かが持ち上がって来た。

「うわわッ!、何だこりゃぁッ!?」

ゴゴゴゴゴ……。
ゴウン…。(動きが止まった)

そこに現れたのは、およそ有り得ない大きさのエンジンを積んだ漆黒のハーレーダビッドソンであった!

「しょッ、署長これはッ!?」

「これこそが、我が青梅警察が極秘に開発した交通機動隊バイク、“Symboli Deep Inpact (シンボリ・ディープ・インパクト)”だッ!、通称“S・D・I”だぁッ!」

「“S・D・I”ッ!?」

「イギリスの諜報機関“MI6”と共同開発したバケモノバイクだ」


「MI6って、あの、ジェームス・ボンドのッ!?」

「そうだ。彼らはこういうメカを作らせたら天下一品だからね…、ふふふ…」
「いいか寺島君!、そのバイクは、排気量が一千350万ccある。ハーレーが最大でも1800ccだから、いかに“S・D・I”が凄いか分かるだろう?」

「うう…、すげぇ…」

「そのバイクには、ジェットエンジンとロケットエンジンをツイン搭載している。最高速度は音速も優に超えるだろう」
「この荒馬を乗りこなせるのは、君しかいないッ!」
「今こそ“S・D・I”を使う時が来たのだよ寺島君ッ!」

「分かりましたぁ署長ッ!、この“S・D・I”で、デッシマンを何としても止めて見せますッ!」

「エンジンをかけてみろ寺島君!」

「はいッ!」
そう言ってエンジンをかける寺島。

ボンボンボンボン…ボボボボボボボ…。
ズズズズズ……。

「くぅ~たまんねぇなぁ…この排気音…」
“S・D・I”の振動が微かな地鳴りを起こす。

「寺島君…よく聞け」

「はい署長…」

「もし“S・D・I”のスピードに耐えられず、クラッシュしそうになった時には、速度メーターの下にある脱出ボタンを押せ」

「脱出ボタン?」


「そうだ…。そうすればシートごと上に飛び出す。戦闘機の脱出ポッドと同じ様にね…。まぁ君が使う事は無いと思うが…」

「もちろんですッ!」

「よしッ!行くんだ黒豹ッ!」

「はいッ!」

「うぉりゃぁあああッ!」
寺島が叫ぶ。

バッッゴォォォーーーーーーーンンッ!
もの凄い音を出し、寺島の“S・D・I”が発車したッ!


「うらうらうらぁ~ッ!、どけどけどけぇええいッ!」
寺島のバイクは、吉野街道を走る車を次々とすり抜けながら爆走するのであった!



一方、廃バンガロー近くの林の中
ミユキは木の根元にある、獣の住処の様な穴の中に身を潜めていた。

ふっ…ふっ…。
声を押し殺して震え泣くミユキ。

「くっそーどこだぁッ!?、どこに隠れやがったぁ?」
遠くでは追手の1人が怒鳴る声。

「まだ近くにいるはずだッ!、探せッ探せッ!」
リーダーの男が、2人にそう指図した。




バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
旧青梅街道を疾走するデッシマンのバイク。

ピィッ!
デッシマンに、弟のヨシノブから無線が入った。

「何だ?ヨシノブ」

「お兄様大変ですッ!、今、吉野街道を有り得ないスピードで並走するバイクを確認しましたぁッ!」

「有り得ないスピードだって?」

「はい、このデッシ・ハーレーに匹敵するスピードです。だけど巧みなコーナリングのテクで、徐々にそちらまでの距離を詰めて来ていますッ!」
「このまま行けば、万世橋から青梅街道に合流して来ますッ!、そのバイクより先に万世橋横を通過しなければ、お兄様は前に回り込まれて停められてしまいますッ!」

「何者ですか?」

「分かりません!、ですが警察車両には間違いありませんッ!」

「やつじゃ…」
その時、ヨシノブの後ろにいた老人が言った。

「爺やッ!?、知ってるのかッ!?」
爺やと呼ばれたこの老人は、明治時代から中出氏に仕える執事なのであった。


「30年程前に、この奥多摩の地で峠を攻める伝説のライダーがおりました…」
「その伝説のライダーの走りには、白バイも含め、誰も追いつけませんでした。ふぉっふぉっふぉっ…」

「その男は、ある日突然この奥多摩から姿を消しました」
「この規格外の走り方は、その男の走りにそっくりです。あれは間違いなくやつの走りです」

「あの男が現れたらもう誰も逃げきれません…」
「坊ちゃま残念ですが、ミユキちゃんの救出は諦めるしかありませんぞ…」

「爺やッ!、誰なんだそいつは一体ッ!?」

「分かりません…ただ人はやつをこう呼びました…」

「“多摩の黒豹”と…」

(“タマの黒ヒョウ”……ッ!)
デッシマンの額から一筋の汗が流れた。



バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
「うらうらうらぁ~ッ!、どけどけどけぇええいッ!」
寺島が“S・D・I”を操縦しながら雄たけびを上げる!

ピィ…。
その時、寺島に無線が入った。

「はい?」
寺島が言う。

「寺島君、すごいな君は。やつに追いついたぞ」
「この先の万世橋を渡ると青梅街道へ合流する。君は何としてもやつより先に出て、デッシマンを迎え撃つのだッ!」
平泉署長が寺島に言う。

「りょ~~~~かい~~~~~ッ!!」

寺島がスロットルを全開にふかすッ!
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!

万世橋に向かって更に加速する寺島の“S・D・I”であった。


バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
旧青梅街道のヘアピンカープを疾走するデッシマン!

「中出氏兄ィッ!、どうするおつもりでやすかぁッ!?、タマの黒ヒョウからは誰も逃げきれないって…ッ!」

「大丈夫ですよハリーさん…、私が何の為にこのデッシ・ハットをかぶってると思ってるんですか?」
ヨシムネは自分のかぶっている、ネコ耳が付いた様なデザインのヘルメットの事を言う。

「その変なデザインがお好きなんでやすよね…?」

「違いますよぉッ!、このヘルメットの能力を知ってるでしょッ!?」


「へい…、あの映画“マトリックス”みたいに、ヘルメットにダウンロードしたデータを脳へインストールする事で、努力しなくても同じフィジカルが発揮できるという装置でやすよね?」

「努力しないは余計です!」

「てぇことは…、世界的なオートレーサーのデータをインストールしたんでやすかい?」

「ええインストールはしましたが、世界的なオートレーサーのデータではダメです」

「え?」

「それではタマの黒ヒョウを振り切る事は、出来ないと言ったのです!」

「それじゃ誰を…ッ?」

「グンです!」

「グン?」

「バリバリ伝説の主人公、巨摩グンのデータを先程インストールし、完了しました!」


「バリバリ伝説のグンってッ!、あの“イニシャルD”の作者、しげの秀一センセエのデビュー作にして出世作となった、あのバリバリ伝説の巨摩グンでやすかぁッ!?」

「そうです。タマの黒ヒョウに対抗できるのは、あり得ない体重移動で峠を攻める、あのバリバリ伝説のグンしかいませんッ!」

「少年マガジンで連載してたマンガじゃねぇでやすかぁッ!?、そんなデータで大丈夫なんでやすかいッ!?」

「とにかく、やるっきゃッねぇんでいッ!」

「な…、なんすかそのしゃべり方は…?」

「おっとイケない…。ふふ…、副作用ですね…」

「副作用…?」

「ワクチンとかを接種すると、一緒に副作用も多少出るじゃないですか?」

「ええ…」

「グンのデータをインストールした事で、どうやらグンの口癖とかも出てしまう様ですね…」

「ええッ!そーなんでやすかぁッ!?」

「みたいです…。おっとハリーさん、急なS字カーブが見えます。しっかり掴まってないと振り落とされますよ」

「ゲゲッ!」
慌ててデッシマンに抱き着くハリー。

カーブが迫るッ!
デッシマンが、あり得ない角度にバイクを傾け、減速せずにヘアピンカーブを曲がったッ!


「カメッッ!」
ギュンッッ!!

またもやグンの口癖を言って、ヘアピンを曲がったデッシマンなのであった。



一方、臓器密売人から身を隠しているミユキ。

「くっそぉぉ…、どこに隠れやがったぁ~!?」
辺りを見渡しながら、サングラスに黒いスーツ姿の男たちが言っている。

その状況を、木の根の下にある小さな穴に隠れているミユキは、声を殺して隠れていた。

ガサ…。
その時、ミユキの顔の傍で何かが動く。

パッとミユキが振り返る!
ミユキの顔の目の前には、舌をチョロチョロと動かす蛇の姿が!

「きゃあッ!」
思わず叫んでしまったミユキ。

「いたぞッ!、あそこだッ!」
ミユキに気が付いた追手の一人が、指を差しながら言った。

穴から飛び出したミユキが走り出す!

「待てぇ~!」
追手の3人組がミユキに向かって走り出した!




バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
JR青梅線の古里駅の近くまで走って来た、デッシ・ハーレー。

ピィッ
デッシマンに弟のヨシノブからまた無線が入る!

「お兄様ッ!まもなく万世橋の横を通過しますッ!、例の黒ヒョウもすぐ側です!、絶対にインを取られないで下さいッ!」

「分かりました…」
そう言うと中出氏兄はスロットルを回した。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
加速するデッシ・ハーレー。

キラッ!

その時、多摩川を間に挟んだ吉野街道から太陽の反射で何かが光った!

「中出氏兄ィッ!あれッ!、あれッ!」
背中にしがみつくハリーが、それを知らせようとデッシマンに叫ぶ!

「来ましたね…」
デッシマンが言った。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
「うらうらうらぁ~ッ!」

寺島が操縦する“S・D・I”が、万世橋を渡って向かって来た!
青梅街道を走るデッシ・ハーレーの前へ回り込む気だ!

「ああ…ッ!中出氏兄ィィィッ!!」
ハリーがデッシマンの背中に強くしがみつく!

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
デッシマンが加速する!

「うらうらうらぁ~ッ!」
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
寺島の“S・D・I”が、青梅街道に向かって合流して来るッ!



バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(デッシ・ハーレー)

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(S・D・I)

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(デッシ・ハーレー)

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(S・D・I)


ギャンッッ!!

すんでのところで、“S・D・I”をかわすデッシ・ハーレー!

「チィッ!」
寺島が悔しそうに舌打ち。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
すぐさま“S・D・I”の向きを変え、デッシマンを追跡する寺島!

「やった!やった!、やったぁッ!」
後ろにしがみつくハリーが叫ぶ。

「喜ぶのはまだ早いです…。本当の闘いはこれからですよ…」
デッシマンがハリーに静かに言う。


「うらうらうらぁ~ッ!」
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
物凄いスピードでデッシマンを追随する寺島!

「うわぁああ、中出氏兄ィッ!、どんどん迫って来てやすよぉッ!」

「止まれこらぁ~~ッ!」
寺島が、西部警察の舘ひろしばりに、両手離しで拳銃を構えたッ!


「止まらんと撃つぞぉ~~~ッ!」
寺島が言うが、デッシマンはそのまま突っ走るッ!

「うらぁッ!」
ガーーーンッッ!!

寺島がデッシ・ハーレーに向かって発砲したッ!
「うわぁッ!」
ハリーが叫ぶ!

その瞬間、デッシマンがハーレーを最大速度にする為、エンジンを全開にした!

パンッッ!!

何かが弾けた様な音!
デッシ・ハーレーの後ろに、光の輪が出来た!


光の輪はソニックブームという現象である。
ジェット機などが音速を超えた瞬間に起きる、あの光の波動である。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
「あちゃちゃちゃッ…、あちちち…ッ!」
空気の抵抗摩擦熱で、ハリーが叫ぶ。

デッシ・ハーレーに向かって弾丸が向かって来た!
だが弾丸の勢いが落ちたと思ったら、ハリーの手前でピタリと止まった!

「あ?、あれ?、弾があっしの前で止まってやすよ?」
ハリーが中出氏兄に言う。

「今、デッシ・ハーレーの速度は時速4000Km以上です。弾丸の等速直線運動とまったくおなじスピードになったので、弾が止まって見えるのでしょう…」

「んなッバカなぁッ!?」(ハリー)

「私の人生…、“バーリトゥード(何でもアリ)”ですから…」
デッシマンはそう言うと、中指でサングラスのフレームを、くぃと押し上げるのだった。


バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
デッシマンを追う寺島の“S・D・I”。

「ヤロウ…ッ」

「寺島君ッ!、正面のレバーを引くんだッ!」

「レバー!?」

「そうだ!、そのレバーを弾けばロケットエンジンが点火し、“S・D・I”も音速に入るッ!」

「分かりやしたぁ署長ッ!」
「うらぁッ!」
寺島がグイッとレバーを引いた!

パンッッ!!
“S・D・I”の後ろにもソニックブームの輪が広がったッ!


バゴォォォーーーンンッッ!!
音速に突入した寺島がデッシ・ハーレーを追随する!



ピィッ!
その時、デッシマンに弟のヨシノブから再び無線が!

「何だヨシノブ!?」

「お兄様大変ですッ!、ミユキちゃんが追手に掴まりそうですッ!、急いで下さいッ!」

「分かった…」
「ハリーさん、いよいよ奥多摩周遊道路に入ります。ここからはRのキツイカーブの連続です」

「ついに峠道に入るんでやすねッ!?」

「そうです。この峠道でタマの黒ヒョウと決着をつけます!しっかり掴まってて下さいよぉッ!」

「分かりやしたぁッ!」

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
デッシ・ハーレーが、奥多摩周遊道路に入った!

「峠に入りゃあこっちのもんだぜ…。峠では誰も、この“タマの黒ヒョウ”の前を走る事はできねぇぜッ!」
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
寺島の“S・D・I”も、奥多摩周遊道路に突入した!


「カメッ!」
ヘアピンを猛スピードで曲がるデッシマン。
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!

続いてS字カーブが連続で現れた!

「カメッ!」
ギュンッ!

「カメッ!」
ギュンッ!

「カメッ!、カメッ!、カメッ!」
ギュンッ!、ギュンッ!、ギュンッ!

「驚れぇたな…、滅茶苦茶な体重移動なのに、転倒せずにあのヘアピンカーブをかわしてやがる…ッ!」
デッシマンを追跡する寺島がハンドルバーを握りながら言う。

「中出氏兄ィッ!、ミユキちゃんのいる場所にはまだ着けねぇんでやすかぁッ!?」

「もうとっくに通過してますよ…」

「何ですとぉッ!?」

「だって音速で走ってるんですから、とっくに通過しちゃいますよ…」
「黒ヒョウを振り切れないので、さっきから同じルートを周っていたの気が付きませんでした?」

「周りの景色がゆがんで見えるんで、全然分かりやせんでした」

「次のカーブへ黒ヒョウを誘い込みます…」

「次のカーブ?」

「はい、あのカーブだと、この速度では曲がり切れません」
「わざと減速せずにそのままカーブに突っ込み、私はカーブに入る直前にデッシ・ハーレーを急停車させますッ!」
「追って来た黒ヒョウの方は、止まれ切れずにガードレールにクラッシュするという作戦です」

「そんな急に止まるなんて事、出来るんでやすかぁ?」

「出来ますッ!、では行きますよぉッハリーさんッ!」
そう言ってたデッシマンがバイクを加速する!


バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
「うわぁぁああああッ!死ぬッ!、死ぬぅぅぅうううう~~ッ!!」(ハリー)

「面白れぇ…あのカーブで決着をつける気か…?」
「受けて立つぜッ!」
そう言うと寺島もスロットルを全開にした!
バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!

グォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(カーブに突っ込んで行く、デッシ・ハーレー)

グォォォォオオオオオーーーンンッッ!!(それを追い詰める、寺島の“S・D・I”)

目の前にカーブ!
「うわぁあああああ~~~ッ!」(叫ぶハリー!)

ボワッッッ!


次の瞬間!、デッシ・ハーレー後部から、3段仕掛けのパラシュートが飛び出したッ!

「何ッ!」(寺島が驚く!)
ギュンッ!
瞬間、“S・D・I”がデッシ・ハーレーの横を通過!

「ぐへぇッ!」
物凄いGを身体に受けたハリーの内臓が押しつぶされる!

「おわぁあああ~~ッ!」
ガードレールに突っ込んで行く寺島が、曲がり切れずに叫ぶ!

そうだッ!!
平泉署長から聞いていた、速度メーター下のボタンを思い出した寺島が、急いでそれを押すッ!

ボンッッ!
寺島を乗せたシートが、勢いよく上へ飛び上がったッ!

「うわぁああッ!」
上空高くへ舞い上がった寺島が叫ぶ。


ドカーーーンッッ!
“S・D・I”がガードレールに激突し、大爆発した!

バッッ!!
そして寺島を乗せたシートから、パラシュートが勢いよく飛び出した!


黒煙が立ち込める中、寺島の脱出ポッドがゆっくりと地面に向かって降りてくる。

ザシッ…。
無事に着陸する寺島。

「ふぅ~助かったぜぇ…」
額に冷や汗をかいた寺島が着陸した場所は、農家の畑の中であった。

“S・D・I”が大破した爆破音で、近所の住民たちが家の中から何事かと飛び出して来る。

「大丈夫ですかぁッ!?」
ブォンブォンブォン…。
大勢の野次馬が見守る中、デッシ・ハーレーが寺島の元へやって来た。

「あっ…ああ…」
デッシマンに力無く応える寺島。

「お巡りさん、実は私たちは今、誘拐された女の子を救出しに向かっていたのですッ!」

「誘拐ッ!?」

「はい…、ヤスダ珈琲社長の娘、ミユキちゃんです」

「ミッ…、ミユキちゃんがぁッ!?」

「お知合いですか?」

「ああッ、よく知っているッ!」

「ミユキちゃんは今、犯人たちに追われて逃走中です。このままではあの子の命が危険ですッ!」

「……ッ!」(絶句の寺島)

「我々は急いでそこへ向かいます!、あなたたち警察も急いで向かって下さい!、場所はここです!」
そう言うとデッシマンは寺島に、記しを付けた地図を渡した。

「では、また!」
そう言ってエンジンを吹かすデッシマン。

「おっ…、おうッ」
寺島が言う。

バォォォォオオオオオーーーンンッッ!!
デッシマンが立ち去って行った。


「デッシマン…、案外いいやつなのかも知んねぇな…」
デッシマンの姿を見つめながら寺島がポツリと言う。


「ああッとイケねぇッ!」
一瞬、間を開けてから冷静になった寺島が叫ぶ。

「誘拐事件だぁッ!、署に、署に連絡だぁッ!」
「おいッ!、バァさん!、電話だッ、電話貸してくれぇッ!」
寺島が近くにいた野次馬の1人を指差して言った。



「ひぃッ!」
老婆は寺島の勢いに驚き、仰け反るのだった!


 場面変わって、奥多摩の山中。

「きゃあッ!」
臓器売買の密売人に、ついに捕まってしまったミユキ!

「このガキャあッ!手こずらせやがってッ!」
ミユキの腕を掴んでいる男が息を上げて言った。

「さぁッ!、こっち来いッ!」

あ~ん…、あ~ん…。

男に引っ張られていくミユキが泣く。

ブォォォ…ンン…。

その時、どこからかエンジン音が微かに聴こえた。

「ん?」
ミユキの腕を掴んでいる男が言う。

ブゥオオオーーーーンン…。

排気音は段々近づいて来る。
男は慌てて左右を見渡すが、辺りには何も見えない!
だが確かに聴こえて来るエンジンの音。

バォオオオオオオオーーーーーンンッ!

明らかに近くで聴こえるその音。
一体どこから聴こえて来る音なんだと焦る密売人たち。

その時、ミユキを捕まえている男に影が差す!

「えッ!」
何だ?と思ったその男は、バッと空を見上げた。

すると男の上空に、大型バイクの姿がッ!

「うぁッ!」
そう叫んだ男の目の前には、デッシ・ハーレーの前輪が顔の近くに来ていたッ!

ドカッッ!

「ぐぇッ!」

デッシ・ハーレーのタイヤを、モロ顔面に受けた男がひっくり返った!

ザンッッ!
その男のすぐ横に着地するデッシ・ハーレー!


「デッシマン参上ッ!」
バイクに跨ったヨシムネが叫ぶ!



「ハリーもいやすぜ…」
その後ろに乗っていたハリーも同時に言った。

「あ~ん…、あ~ん…、あ~ん…」

「さぁ…もう大丈夫ですよ…」
デッシマンが、泣いているミユキの頭を撫でながら優しく言う。

「てッ…、てめえらぁ何モンだぁッ!?」
失神してる仲間の、すぐ近くに立っていた2人組の密売人が叫んだ。

「デッシマンをご存じない…?」(ヨシムネ)

「デッシマン…ッ!?」(黒スーツの男)

「東京都下限定に、町の治安を守る正義の味方です」(ヨシムネ)

「なんだぁッ!?、ご当地キャラか何かかテメエはッ!?」(黒スーツの男)

「本物の正義の味方でげすよ…」
バイクから降り立つハリーも言った。

「黙れッ!変質者がぁッ!」
全身黒タイツで、股間モッコリ姿のハリーを見た密売人の1人がハリーに言う。


「ぐぅッ…!」
顔を赤らめたハリーが言葉を呑む。

「おいッ!、そのガキをこっちによこせッ!」

「中出氏兄ィ…、ここはあっしにやらせて下さい…」

「えっ?、ハリーさんが?」

「ええ…、今こそ特訓の成果を見せる時が来やした」
「松本明子拳(ショウホンメイシケン)を使う時が来たんでやすッ!」

「何ごちゃごちゃ話してるッ!?、この変質者がぁッ!」

「あっしも変質者と呼ばれて、黙っておりやせん…ッ!!」

「あの人たち、よくハリーさんが変質者だって事に気が付きましたねぇ…?」

「あらッ…」
その言葉にガクッと崩れるハリー。

「あっしはAVマニアですけど、変質者じゃありやぁせんぜ中出氏兄ィッ!」

「じゃあどんなジャンルのAVをご覧になってるんですか?」

「✕✕✕✕✕…なものや、✕✕✕✕✕…みたいなのを好んでおりやす」

「やっぱ変質者じゃないですか…!、普通の人は✕✕✕✕…なものや、✕✕✕✕✕…みたいのなんて観ませんよ!」

「ぐぅッ!」
中出ヨシムネの言葉に、反論できないハリーが言う。

「と…、とにかく、ここはあっしがやつらを叩き伏せやすッ!」
そう言うとハリーは、自分の事を変質者だと見抜いた男の前に立った。

「なんだこらぁ…、チビがぁ…」
密売人たちは身長が2m近くあろう大男たちであった。
そのうちの1人がハリーを挑発している。

「覚悟はいいでげすか?」
ハリーが黒スーツへ静かに言う。

「ああんッ!?」
口を大きく開けて男が言う。



「松本明子拳(ショウホンメイシケン)ッ!、デビューシングルの型ッ!」
昔のアイドル歌手が、両手でマイクを握っている様なポーズでハリーが叫んだ!

「押忍ッ!(オスッ!)」
ハリーがイキナリ、右正拳で男の胸元を突くッ!

「グッ」
男が後ろにフラッと一歩下がる。

「召すッ!(メスッ!)」
今度は左正拳で男の頬を突くハリー!

「がぁッ!」
男の顔が左へ振れたッ!

よろめいて立っている男。
ハリーが身体を大きく回転させ、胴廻し回転蹴りを放ったッ!

「喫すッッ!(キッスッッ!)」
UWF時代の、前田日明ばりの凄まじいフライングニールキックが、相手の顔面に炸裂したッ!


バシッ!!

「あああッ!」
ズダ~ンンッ……!

男は仰向けに倒れ、失神したッ!

(決まった!)
蹴り足を上げたまま、ハリーがピタリと止まっている。

「このヤロウ~…、もお生かしちゃおけんッ!」
その光景を見ていた大柄な相手のリーダーが、懐に手を入れた!

ジャキッ!
そして拳銃を出して、ハリーに向けた!

「うッ!」
拳銃を向けられ固まるハリー。



「おらぁ~ッ!、待てこらぁ~ッ!、おとなしくお縄を頂戴しろぉ~~ッ!」
その時、林の奥から寺島を先頭に警官隊が走って来た。
まるで火曜サスペンス劇場の、船越英一郎ばりの絶妙なタイミングで現れた寺島たち警官隊!

「ッ!!」
それに驚いた密売人が振り返る!
一瞬の隙が見えた時であった!

(今だッ!)
大男の前に踏み込むハリー!

「オスッ!」
男の胸元に正拳突き!

「うッ」
相手が不意をつかれ、苦しそうな声を上げた!

「メスッ!」
すかさず左拳で相手の左頬をフック!

「ぐッ!」
男の顔がグルッと左へ流れた!

「キッスッッ!」
十分に反動つけて飛び上がったハリーが、大技、胴廻し回転蹴りを決めたぁッ!


バシッッ!

「ぐぁッ!」
顔面に蹴りを喰らった男!
だがまだ倒れない!

男は顔を押さえながら、フラフラと揺れながら立っていた。

「とどめでやすぅ~~~ッ!」
ハリーはそう言うと、大男の腕を掴んで、スッと屈んだ!


「チョリソォォォーーーーーッ!」
井上康生ばりの一本背負い!
大男の身体が浮いたぁッ!

ズダ~ンンッ……!
巨体が地面に叩きつけられる!
大地が揺れた!

「う~~~ん…」
大男は、そううめき声を上げると気絶してしまった。

「やりましたねハリーさんッ!」
傍で見ていたデッシマンこと中出ヨシムネが、笑顔で拍手しながらハリーに近づいて言った。


「完璧な、松本明子拳(ショウホンメイシケン)でしたよ!」
ハリーの肩に手を置いたデッシマンが言う。

「ありがとうごぜぇやす…。これも中出氏兄ィのおかげでやす」

「それじゃあ、我々はそろそろずらかりましょう!」

「へっ!?、どうしてでやすか?」

「スピード違反で逮捕されてしまいます」
デッシ・ハーレーに跨りながらヨシムネが慌てて言う。

「わかりやしたぁッ!」
ハリーも急いで後ろのシートに跨った。

「お嬢ちゃん!、後はお巡りさんが守ってくれやすよ」
涙目で立ちすくんでいるミユキに、ハリーが笑顔で言う。

「じゃあ行きましょう!」
デッシマンがそう言うと、デッシ・ハーレーを急発進させた。


バァォォォオオオオオーーーーーーーーンンッッ!!

「あッ!、待て!お前らぁッ!」
それを見た警官隊の1人が言った。

「追えッ!、追うんだぁ~ッ!」
すぐに刑事の1人が部下たちに叫ぶ。
すると寺島がボソッと言った。

「やめとけ…」

「えっ?」
隣の寺島を見て、追う指示を出した刑事が言った。

「やめとけ…。おまいらじゃ無理だ…」

「……?」(寺島を見つめる刑事)

「追いつけねぇよ、あいつらには…」
「あの“タマの黒ヒョウ”でも止められなかったんだからな…」
走り去って行くデッシマンたちを見つめながら、寺島が言った。


(デッシマン…。何モンなんだあいつぁ…?)
そう思う寺島なのであった。


 それからミユキは無事保護され、安田ユキオ邸に帰る事が出来た。
メディアを意識して、胡散臭い笑顔をしながら安田はミユキを向かい入れた。

ミユキが安田邸に戻る事は、果たして少女の幸せにつながるのかどうかは、考えさせられるところだ。
しかしミユキは自らの意志で、安田ユキオの元へと帰って行った。
自分の生きる意味を作り出す事を、まずは安田ユキオの元で、始めてみようとミユキは思ったのかも知れない…。


 そしてあの事件の翌日
中出氏邸の応接間

「それにしても、ミユキちゃんが無事で良かったでげすね!?」

ソファに座っているハリーが、TVを見つめている中出氏兄のヨシムネに言った。
TVからは、昨日解決した誘拐事件の事を放送していた。

「昨日のやつらは、臓器密売人だったみたいですね…?」
ヨシムネがポツリと言った。

「これで一安心ですね、お兄様!?」
弟のヨシノブが、明るい表情で兄ヨシムネに言う。

「いえ…、やつらはただの下っ端です。本当の犯罪組織は、まだ捕まっていませんよ…」
冷めた表情でTVを見つめるヨシムネが、静かに話す。

「でもそれは、やつらが警察の尋問でゲロッちゃうから大丈夫でやすよ」(ハリー)

「やつらは話しませんよ…絶対にね…」(兄ヨシムネ)

「え!?」
ハリーと弟ヨシノブが、声を揃えて言った。

「組織の事をしゃべったら、やつらは消されます。殺し屋はムショの中にも、刺客を送り込んでくるでしょうから…」(兄ヨシムネ)
そのヨシムネの話を、黙って聞いているハリーと弟のヨシノブ。

「だからやつらは、しゃべりません。殺されるくらいなら、ムショ暮らしを選ぶのでしょう…」
中出氏兄のヨシムネはそう言うと、ソファから立ち上がり部屋から出て行った。

「ところでハリーさん!」
ヨシムネの話を聞いて神妙な顔をしているハリーに、突然話し掛ける笑顔の弟ヨシノブ。

「何でやすか?」
ハリーがヨシノブに言う。

「実は、我々の法人“8の字無限大!”で、今度運送業を始めてみようと思ってるんですよ!」

「運送業~?」

「はい…、デッシ・ハーレーの波動エンジンをヒントに、良い方法を思いついたんですよ」


「波動エンジンでで、やすかい?」

「ええ…、今研究中ですが、そのうち実用化できると思います。そうしたら、バンバン稼げますよ~ハリーさん!」

「あの…、聞こう聞こうと思ってたんでやすが、何で、宇宙戦艦ヤマトの波動エンジンなんか造る事が出来たんでやすかぁ…?」

「設計図がありますから…」

「せッ、設計図がぁ~!?、何で、波動エンジンの設計図があるんでやすかぁッ!?」

「その話はいずれまたしますよ…。現在、中出氏のテクノロジーが、世界中のどの国よりも優れている秘密が、そこにありますので…」

「どうせまた、あり得ない事、言うんでやしょ?」


「はい…、私の人生、バーリトゥード(何でもアリ)ですから…」
そう言ったヨシノブは、中指でメガネのフレームを、くぃっと押し上げるのであった。


THE END


今回の勝手にエンディングテーマ




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