僕の大学時代の同級生で、現在母校にて、ドイツ語と政治学を教えているやつがいる。
今でも年賀状のやりとりをしている友人なのだが、今回はその彼から聞いた話をしてみよう。
その友人は青森県出身で、本人曰く、青森なのにリンゴも出来ないくらい、ド田舎に住んでいたそうだ。
友人が子供の頃には、村にTVがあるのは、彼の家だけ。
村の地主だった彼の家には、TVを観せてもらいに、毎日村人が訪ねに来ていたんだとか。
ある日、彼の家の玄関で、彼の祖父と村人が話しをしていた。
その村人は、顔や体に、たくさんの松の木のトゲが刺さっており、トゲが刺さった顔は真っ赤になっていた。
そして、その村人は、「いやぁ~あの女は良かった」とか「あの女は最高だった」とか喋っているのが聞こえて来たらしい。
その話を彼の祖父は、「そうか、そうか…。」と、ニコニコ笑って聞いてあげてたとの事だ。
玄関で話していた村人が帰った後、「はて…?、この村には若い女なんか、どこにも居ないはずなんだが…」と祖父は言ったそうだ。
それと、その村人は彼の祖父以外の人たちにも、その女の話をしていた様だった。
妙だと思った村人たちは、ある夜、その村人の後をみんなでつけてみる事にした。
すると、その村人は「立入禁止」と、ロープが張られた山の中に、1人で入って行ったらしい。
そして村人は、松林の中に着くと、そこで横たわり、ゴロゴロと身体をくねらせ始め出したそうだ。
それで、松のトゲトゲが体中に刺さっていた理由が分かった。
村人たちは、その人が狐に憑りつかれたと理解し、引き連れて戻ったそうです。
僕が友人に「なんで狐なの?」「それでお祓いしたの?」と疑問をぶつけたが、なんせ僕の友人も、自身が子供の時の話しで現場に居合わせてたワケではないので、その後、狐に憑りつかれた人が、どうなったかは分からないそうだ。
狐に憑りつかれた理由も、その時の大人たちが「狐に憑りつかれた」と云ったから、根拠は不明だそうだ。
たぶん、今から40年くらい前の話しなんだろうが、いくらド田舎でも、こんな「日本むかし話」みたいな事が起きるって凄くないですか!?
それにしても、昔の人って、すぐ狐とか狸とかに騙されたって思うけど、昔ってホントに、そういうモノノケが居たのかも知れませんね。