最低賃金1,500円のナゾ | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

「2020年代に最低賃金1,500円を目指す」

 

石破総理大臣就任記者会見の公約です。

 

昔から本当に疑問なので、この機会に。

 

この最低賃金って上がれば上がるほど良い事なんだろうか??

 

私が高校生の頃、コンビニでも、マックでも時給って大体600円前後が相場でした。それが、1,500円となると、時給が2.5倍に跳ね上がった事になります。年末の郵便局の年賀状配達のバイトでも800円から900円前後でした。いや、貰い過ぎだなんて言うつもりは無いのです。私はただ、相対的なお金の価値は変わっていないのに、最低賃金だけ上げるのってどうなんだろう?って不思議でしょうがないんです。


例えば、自販機の缶ジュース。その頃も今も、110円前後であることは変わっていません。マックのバリューセットも、昔も今も大体同じ金額です。(セットが無かった昔の方が高かったかも知れません。)それから、大卒の初任給。多少上がったかも知れませんが、そんなに変わっていない。更には、今の40代、50代の管理職世代の給料。これはもっと変わっていないはず。少なくとも、私の同世代の連中で、最低賃金の引き上げに伴って、自分達の給料も上がってるなんて話はついぞ聞いたことがありません。

 

ということは、今の世の中って、収入の下と上の格差がどんどん少なくなっているのだと思います。

 

高校生の頃、時給600円で薄給過ぎるから、バイトの意欲が失せるなんて考えた事も無かった。だって、将来社会に出て頑張れば、大きく収入が上がることがモチベーションになっていたから。


ところが、物価は変わらずに、時給だけ最初から2.5倍に上がれば、生活はずっと楽になる。だったら、別にバイトだけの生活でもいいや、って人だって沢山出て来るのではないでしょうか。つまり、収入面での向上心や出世意欲を持つ必要がなくなって来る。


国家が頭ごなしに、賃金の最低基準を引き上げれば、本当に困窮している人は、生活は楽になるのでしょうが、地道に真面目に努力すれば、それ相応に報われる、という方程式が成立しなくなるのでは?

 

最近、企業で、管理職を拒否する社員が続出しているそうです。そりゃそうだろう。最低賃金の引き上げなどで、そこまで厚遇を保証されているのであれば、出世しても給料が大して変わらないから、責任だけ増えるような管理職が敬遠されるのは自明の理です。

 

私は、最低賃金が上がるたびに、多くの日本人の中間層の勤労意欲が削がれている気がしてならないのです。

 

まあ、この人は、何にも考えてない。


だから、ただ耳触りの良い言葉しか言わないと思いますが。