外来診療後に、雑誌の取材がありました。
内容は、多岐に渡りましたが、主に、「ザイモートスパームセパレーター」という体外受精の新しい精子調整法についてでした。ザイモートについては、このブログの場でこれまでも何回か取り上げています。
ザイモートは、精子処理の工程で、遠心分離を行わずに、精子の運動性を利用して、微小な膜構造を通過出来た良好精子だけを回収する方法です。従来の「スイムアップ法」は、遠心分離による精子への物理的なダメージや、活性酸素に長時間曝されることで、精子のＤＮＡを損傷する可能性が指摘されています。
遠心分離を不要とするザイモートスパームセパレーターは、こうしたリスクを回避することで、“より優しい精子調整法”と言えます。この方法で抽出した精子を用いることで、体外受精の培養成績の向上、妊娠率・着床率の上昇、流産率の低下が期待されます。
ザイモート法により、どこまで妊娠率が改善するか、明確には分かっていませんが、少なくとも従来法と同等の成績が得られていることは間違いないようです。
私は、この方法が、次世代のスタンダートな精子調整法になると考えています。理由は明確です。ザイモート法では、精子をより愛護的に扱う事が出来るからです。妊娠率や受精率など、数字の段階で統計学的に有意な向上が観られなくても、それは、この方法の有効性を否定するものではないと考えています。
ということで、ちょっと真面目な事を書いてしまいましたが、真面目な事を書くと、余り読んで貰えないようなのでこの辺で。