ガラシャ話で盛り上がろうぜ  | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花は花なれ 人は人なれ」

 

細川ガラシャの辞世の句と言われています。

 

川勝静岡県知事が、辞任の心境を聞かれて、この句を引き合いに出したらしいです。

 

細川ガラシャは、明智光秀の娘で、細川忠興の奥さん。

本名は「珠(たま)」だったけど、キリスト教に入って、ガラシャという名前に。

 

因みに、1992年に、小沢一郎に担がれて総理大臣になった細川護熙は、細川忠興の子孫です。

その時に小沢一郎が放った有名なセリフが、

「神輿は軽くてパーが良い」

「パー」とは、「バカ」という事でしょうな。

 



でも、細川ガラシャといえば、これよりも、もっと有名な句があります。


夫婦の間の和歌のやり取りがあって、私は、これが大好きです。


 

当時は、豊臣秀吉が天下統一が終わった時代。

その後、国内で領土を広げる事が出来ないから、朝鮮に出兵します。

細川忠興も、家族を置いて朝鮮半島に出陣することに。

ところが、豊臣秀吉というのは、ものすごく好色で、しかも、一番好んだのが、名家の出身の女性。

兎に角、見境が無かったらしく、自分の家臣を朝鮮に行かせて、その間、留守を守る奥さんを自分の屋敷に呼んで、物色していたらしい。細川ガラシャは、土岐氏の流れを汲む名門の出なので、特に目を付けられていたらしい。でも、細川忠興からすれば、自分の主君なので、何をされても文句は言えない。そこで、朝鮮に出陣する際に、奥さんに句を送るのです。

 

「なびくなよ 我が姫垣の 女郎花(おみなえし) 男山より 風は吹くとも」

 

姫垣というのは、お姫様でも易々と跨げるような低い垣根の事。女郎花=ガラシャ、男山=秀吉、の例えで、要するに、「愛する妻よ、秀吉の誘惑に負けるなよ」と心配しているのです。

 

それに対して、ガラシャが短歌で手紙を返すのです。

それがこれ。

 

「なびくまじ 我がませ垣の 女郎花(おみなえし) 男山より 風は吹くとも」

 

ませ垣っていうのは、竹などで作って中が見えなくした垣根の事らしく、「大丈夫、私のガードは鉄壁だから、太閤殿下の誘惑なんかには負けません!」と、小気味良く返しているのです。

 

その後、秀吉が死んだあと、関ヶ原の合戦が起こった際、細川忠興が東軍に付きます。その為、忠興不在の屋敷を、石田三成に囲まれて、三成に西軍の人質になるように諭されるも、それを拒否して、自害します。でも、キリスト教では自殺が禁じられているので、屏風の外から家臣に自分の体を槍で串刺しにさせたっていう壮絶な死に方をしたらしい。

 

さて、冒頭の川勝県知事。

 

ガラシャの覚悟とレベルが違い過ぎやしないかね?

リニアの邪魔出来たことを、ガラシャの散り際の美学になぞらえるなんて、ガラシャが迷惑だ。