あすか生殖医療web講演会 | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

夜、「あすか生殖医療web講演会」という不妊治療のweb講演会がありました。

吉村泰典先生(右)が司会進行を務められ、英ウイメンズクリニックの塩谷雅英先生(中央)と、HORAグランドクロント大阪クリニックの森本義晴先生(左)がご講演されました。
 

テーマは、体外受精における反復不成功例にどう向かうか。

 

不妊業界のレジェンドともいえるお二人の講義は大変参考になりました。

 

その後の質疑応答がありましたが、印象に残っていることが2つ。1つ目は、お二方とも、2段階移植のインパクトを実感されていたことでした。そして、もう1つが、多血小板血漿(PRP、またはPFC-FD)の威力について。これについては、特に、塩谷先生がPRPの子宮内腔注入による着床率改善の効果を実感しているとコメントしておりました。

 

メディカルパーク湘南でも、2段階移植は積極的に行っています。確かに、治療成績は改善している印象があります。更にPRPについても、確実に手応えを感じます。例え、内膜が薄く無くても、反復不成功例の方に、内腔へのPRP注入(最近は、一度フリーズドライで凍結したPFC-FDを注入することが多くなっています。)を行うと、上手く行く場合を経験します。

 

着床障害とどう向き合うかは、医学的な事だけではなく、医療者側の人間的な姿勢を問われてると感じることがあります。我々が、全身全霊で向き合うことは当然として、その中で、お金が掛かることを、どんどん勧めるのか、それとも、治療を断念することを勧めるのか、どのような選択肢があって、何が限界なのか。患者さんが求めているものは何なのか。いつも考えてしまいます。

 

重鎮の先生方も、同様に悩みながら患者さんと向き合っているのだな、と実感して、なんか少し勇気を貰ったような気がしました。