記念すべき日(無精子症の手術第1号) | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

今日は、メディカルパークグループにとって、記念すべき日でした。

 

初めて無精子症に対する精巣内精子採取(TESE)手術に成功したのです。

 

無精子症は、文字通り、精液中に1匹の精子も認めない状態で、発症頻度は、成人男性の約100人に1人と言われ、男性不妊の最も重篤な疾患です。以前は、無精子症と診断されたら、第三者によるドナー精子を用いた治療に望みを賭けるしかなかったのですが、近年、精巣を切開して、直接精管から精子を回収するこのTESE手術が開発され、無精子症の方でも精巣から精子を採取出来れば、自分の精子で不妊治療を継続することが出来るようになりました。

 

これまでは、無精子症の患者さんは、大学病院の泌尿器科に行って頂くしかなかったのですが、それでは、患者さんの利便性が悪くなります。また、どの大学病院でも手術の順番待ちが数か月待ちで、もどかしい思いをして来ました。そのため、このTESE手術を内製化し、自分たちの病院で完結できるようになることが、開院以来の私達の長年の大きな夢でした。

 

それが今日、漸く実現したのです。

 

執刀して下さったのは、当院の男性不妊外来を担当して頂いてる竹島徹平先生。

手術成功の報告に来て頂いた際、嬉しくなって、写真を撮ってしまいました。

 

手術時間は30分程度だったそうです。

でも、見てください。

それでもこれだけ汗だくになるものなのです。

術中の緊張感がそのまま伝わってくるようです。

やってみないと精子が見つかるかどうか分からない、という状況がその緊張感を生むのでしょう。

本当にご苦労様でした。

精子は無事に回収され、すべて液体窒素で凍結が完了しました。

これからは、私達産婦人科の出番です。

必ずや、体外受精を成功させて、TESE妊娠第1号を誕生させることに全力を尽くしたいと思います。