新型コロナウイルス治療薬の説明会がありました。 | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

診療後に新薬の勉強会が開催されました。

 

「ゾコーバ」錠。

 

ゾコーバ(一般名称「エンシトレルビル」)錠は、新型コロナウイルス感染症の治療薬です。

現在、新型コロナウイルスに対する薬剤は数種類が承認されていますが、ゾコーバは唯一の純国産の薬剤です。

ゾコーバはコロナウイルス内の3CLプロテアーゼという酵素の働きを阻害することによって、コロナウイルスが産生するたんぱく質の生成過程を阻害します。

実は、私の妻が先月コロナに感染した時に、コロナ治療薬を服用させました。初日は、ただ、解熱剤を飲ませるしか無かろうと思っていたのですが、2日目の朝、余りに辛そうだったので、見るに見かねて自分で処方して、近くのスギ薬局に取りに行きました。ゾコーバでは非常に高価な薬らしいですが、今は公費負担となっているので、私も薬局の窓口支払ったのは260円だけでした。

 

正直、効果は半信半疑でした。朝服用した後は、逆に嘔気が強くなって、身の置き所が無い感じが続いたそうです。しかし、2回目を内服した後から、どんどん容態が良くなったのです。そして、良く朝には、咳や咽頭痛などは残っていたものの、完全に解熱しました。近くで見ていて、明らかに薬が著効した感じがありました。とても驚きました。妻自身も、「ゾコーバの2回目を飲んだ辺りからウイルスがいなくなっていく感じがした」と言います。そして、「もし、ゾコーバ飲んでいなかくても、最終的には治ったと思うけど、薬のお陰で1日位早く回復した感じがする」と、しきりに言っていました。

 

下の写真を見てください。ゾコーバ投与群と、非投与群で比べると、投与群は丁度丸1日程度回復が早くなった、というデータです。これを見て、ちょっと鳥肌ものでした。妻が言っている事とまるっきり一緒だったからです。

製薬会社のプレンぜターは「たった1日早く治るだけでは飲まなくても一緒だ、という批判もあるようですが、罹った人からすれば、この1日の差がとても大きいのです。」と言ってましたが、本当にその通りだと思います。
 
最近、コロナに罹って暫く不妊治療をお休みしていた患者さんが沢山戻って来てくれています。その方々に、「コロナ治療薬飲んだのですか?」と聞くと、1人として例外なく「え?薬なんてあるんですか?病院に行ったけど、カロナールしか処方して貰えませんでした。」という答えが返ってきます。

 

私はこれが本当に不思議でなりません。テレビでも、あれほどコロナコロナと騒いでいたのに、治療薬の事は全く取り上げられなくなっています。何でなんだろう?ゾコーバ以外にも海外の製品ですが、「ラゲブリオ」という薬も流通しています。もっと取り上げれば、社会の混乱は防げるはずなのに。本当に不思議。