胚盤胞のグレードと治療成績について(1) | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

今回は、胚盤胞のグレードと治療成績について、2回シリーズでお届けします。

体外受精を行っていると「胚盤胞」という言葉を必ず聞くと思います。胚盤胞とは、受精してから5日程度経過した段階の細胞数200~300個の卵の状態で、中に「胞胚腔」というスペースが形成されます。

体外受精で胚盤胞の段階に達した胚を移殖する際、その胚盤胞のグレード評価は非常に大事な指標です。グレードは、培養士が顕微鏡で卵を観察して、「Gardner分類」と呼ばれる国際的な基準に従って分類していきます。

グレードには3項目の評価基準があります。

1番目は胚の内部に出来る胞胚腔の大きさ。1~6の6段階で評価されます。

 

 

 

2番目は「内細胞塊:ICM(inner cell mass)」という内側の将来胎児成分となる細胞の状態です。A、B、Cの3段階で評価されます。

3番目が「栄養外胚葉:TE(trophectoderm)」という外側の細胞の状態です。これは将来、胎盤になる部分で、これもやはりA、B、Cの3段階評価です。そして、これら3項目を、「3AA」とか、「4BC」などと表示します。なんか、和牛の等級分類みたいですよね。

 

着床率の違いは、AとBの間にはあまり無いのですが、Cが入ると有意に影響してくると言われます。ですから、我々の業界的には、AとBしか入っていないものを、「良好胚盤胞」と呼び、そうでないもの、すなわち、Cが1つでも入っているものを「不良胚盤胞」と呼んだりします。1、2の胚は移植されることは殆どないので、実際に移植される場合は、腔の大きさは3~6で、それぞれにA~Cの評価が2つつながるので、理論上、合計で36通りのグレードのパターンがあります。

 

以下に、A、B、Cのグレード分類の具体的な基準を書きます。意外と皆さん知らないので、治療の参考にして頂ければと思います。

次回は実際にメディカルパーク湘南のグレード別の治療成績を集計したものを紹介しようと思います。

数日程度お待ちください。