PRP(多血小板血漿)療法について③ | 生殖医療専門医・内視鏡手術技術認定医 田中雄大のブログ

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神奈川県藤沢市の不妊治療・産婦人科「メディカルパーク湘南」の院長、田中雄大のブログです。
体外受精や内視鏡手術のことから雑感まで、日々の記録を綴っております。

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今回は、PRP療法の第3回です。今回は具体的な手順などについてご紹介します。PRP療法は人工授精または体外受精を行っている方が対象となりますが、恐らく、まだ人工授精の段階の患者さんは希望されないと思うので、実質的には体外受精の患者さんが対象となるでしょう。凍結融解胚移植周期中に、2PRPを子宮内に注入します。1回目が月経10日目前後、2回目はその2日後に予定を立てます。施行当日、患者様には16時に外来を受診して頂き、予めお渡ししておいた同意書を確認したうえで、前腕から静脈血を採取します。これは通常のホルモン採血と全く同様の手順ですが、PRP用の針がちょっと太いので痛みを強く感じるかも知れません。約20mlの静脈血を特殊な検査管に採取した後、遠心分離機で血漿部分を抽出し、その後 多血小板血漿として、調製したPRP(約1 ml)を患者様の子宮内に注入します。遠心分離には約30~45分程度を要します。この際、PRPには血小板が多く含まれているため、検体が凝固してしまう場合があり、その場合は再度採血をお願いする場合もあります。PRPの注入自体には、人工授精の精子注入や体外受精の胚移植と同様の要領となりますので、それほどの痛みは伴わないと思います。そして、注入後はベッド上で約30分程度安静にして頂きます。

 2回目のPRP注入より約2日後に再度受診をしていただき、ホルモン値の採血および子宮内膜の測定を行います。そして、移植日を決定し、そこから逆算して、プロゲステロン製剤の投与を開始します。

この治療を受ける場合、保険適応外のため、自費診療となります。診療費は2回のPRP注入で15万円です(消費税別)。ご予算や日程などのご都合で、1回とする場合には、10万円(消費税別)となります。

PRP療法の作用機序は分子レベルで全て解明されている訳ではありません。理屈で考えると、血小板の中に含まれる成長因子や細胞増殖因子が子宮内膜に働きかけ、その成長を促すことで着床能が改善するのだと思われますが、子宮内膜が必ずしも厚くならなくても妊娠率は改善しているというデータもあるようです。金額の設定に関しては、いつも通りに徹底的に安く抑えたつもりです。しかしそれでも2回で15万円という金額は決して安いものではありません。PRPを注入した場合、内膜がどれくらいになっていれば、移植を決断し、あるいはキャンセルするのか、予めご夫婦で話し合っておくと良いでしょう。

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