ホーチミン市で戦争を伝える施設 | 探検塾

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好奇心のつづく限り、体力のつづく限り、

ベトナムの場合は、ベトナム戦争が終結した1975年にホーチミン市の旧南ベトナム大統領府(現統一公会堂)の横に安普請の建物ながら「アメリカとその傀儡による戦争犯罪人博物館」を建てています。

他国と比べても、終戦からすぐに戦争犯罪の証拠の保存と陳列をするところがベトナムのすごいところ。

 

僕は1995年から3回ほど訪れたのだけれども、そこではベトナムの農民を米兵が楽しそうに虐殺している写真とか、枯葉剤で奇形な体で生まれて死んだ赤ちゃんのホルマリン漬けが並んで相当ホラーな空間でしたね。

この建物は21世紀を待たずに閉館されたようです。

 

 

この度訪れたのは立派な建物の戦争証跡博物館。

ベトナムの学生が修学旅行で来たりベトナム戦争をよく知らない若い観光客も学べるような施設でした。

ここではベトナムの現場で起きた戦争犯罪の証拠だけではなく、ベトナム戦争を世界に伝えようと危険を顧みずに現場に入ったジャーナリストたち、世界各地における反戦運動、戦争に駆り出された若い米軍兵士の悲劇など、戦争の実態と戦争に関わった人たちや犠牲になった人たちをより俯瞰的に伝えようとしています。

なお、赤ちゃんのホルマリン漬けの棚はもうなく、その代わりの写真がありました。

これで博物館のホラー度は数段下がったかな。

 

平和運動家グエン・ドク氏

 

年配の日本人ならなじみのあるベトちゃんドクちゃん(枯葉剤の影響で生まれたとされる上半身2つが1つの下半身でY型に繋がった結合双生児)が赤子のころの写真と、現在グエン・ドク氏がこの博物館で車いすを使いながら来訪してきた外国要人に説明している写真がありました。だけどこの二枚の写真は離れて展示されていたので、僕ら年配の日本人ではないと同一人物だとはわからないでしょう。

彼の平和運動に関係するサイトに最近の博物館内の写真あったので張っておきます。

 

 

クチ・トンネルの模型

 

もう一つのベトナム戦争を学べる施設は、ホーチミン市中心から50キロほど郊外にあるクチ・トンネル。

南ベトナム解放戦線(ベトコン)のゲリラ活動の拠点で、ジャングルの中に200キロに及ぶ人がやっと通れるようなトンネルのネットワークを築いていたところです。

クチは北ベトナムからの軍事物資の輸送路(ホーチミンルート)に近く、トンネルはカンボジアの国境付近まで延びていたので、これらより物資を補給してゲリラの訓練と作戦会議をおこなって、頻繁に南ベトナム政府の首都サイゴンを襲っていた。

 

クチ・トンネルがユニークなのは、体験型の観光施設に徹しているところ。

訪問客にはガイドがついて、各言語によるビデオでクチ・トンネルの全体を理解したところで、実際にベトコンになったように狭い土のトンネルの中を立膝ついて回ったり、半地下または地下のいろいろな施設空間を見学できます。

当時、装備で劣るベトコンが同知恵を絞って戦っていたかがわかるし、運動にもなりますよ。

 

だけど閉所恐怖症の人は地下に潜らない方がよいでしょう。

トンネルが狭いので、途中で引き返すことができないので。

 

最後に、ガイドに倣い僕の友人がトンネルに潜むところを紹介しておきます。

見事に隠れました。