Hotel Continental Saigon を流れる時間 | 探検塾

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今日はベトナムはホーチミン市でもっとも古く、まだ格式を保っているホテルを紹介しましょう。

その名はホテル・コンチネンタル・サイゴンで、建築されたのは1880年。
正面に建つサイゴン・オペラ・ハウス(ホーチミン市民劇場)とともに、フランス統治時代の19世紀の遺物のような建物ながら、いまだ現役。

僕にはクラッシックホテル好きという趣向があるので、これまでホーチミン市に来たときはたびたびここに宿をとってきました。

全室スィートルームなので、部屋は広くて窓側に応接間がある。
またエアコンを知らない時代の建物なので、高い天井からファンが優雅に風を送ってくる。
中庭でとれる朝食も特別な気分になれる。

実を言うと僕は最近はこのホテルにあまり泊まれていないのです。
部屋代の伸びについていけないから。

1990年代後半なら、ここに一泊100ドルで泊まることができて、しかも当時は円高だった。
今は一泊200ドルはかかるけれども、われわれ日本人の出張費は給料と同じくここ30年ほとんど増えていない。
僕らの出張はだいたい長いのであまり日々自腹を切りたくないということで、この十年くらいは手の届かないホテルとなっていましたね。

この度ホテル・コンチネンタル・サイゴンに泊まれたのは、ベトナムがコロナ対策で外国人の入国を絞っていたので、高級ホテルがどこもバーゲンセールをしていたから。

5月の今は外国人はワクチンパスポートだけで入国できるので、観光客も増えてきていて、もう一泊200ドル超の設定に戻ってしまいました。

だからこのようなクラッシックホテルは流れる時間はゆったりとしているようだけれども、ホテル客の動きは常に世相を反映しているといえる。

このホテルの歴史からして当たり前の話かな。
フランスが敗れたインドシナ戦争やアメリカが去ったベトナム戦争のときは、ホテル・コンチネンタル・サイゴンは西側ジャーナリストの拠点だった。
南ベトナムが解放されてしばらくの間は、前のオペラハウスは議事堂として、このホテルはその関連施設としてホーチミン市人民委員会に接収されていたのだから。

ところでホテルの隣の街区の歩道には、ガラス張りで地下につづくエスカレータとエレベータが設置されていました。
今年の末には開業するというホーチミン市初めての地下鉄の駅の出入り口。
ホテルを取り巻く環境は、このようにスピードある変化を続けています。