墓のあるあたりは斜面地でコースのアップダウンが多く、それから川の流れる谷底近くをあるいて吊り橋を渡って川の反対側に出て、また谷沿いを戻ってくるコースです。
スルタンの墓のある山は、靜かで人口密度低く集落が点在していて、住人はみんな優しい感じです。彼らの横を通り過ぎると、挨拶だけでなく励まされ、子どもたちは走ってよってきて果物やアメを手渡そうとする。そして極めつけば、歩いてばかりで大変だろうと、オートバイの後ろに座らせて送ろうとする。
韓国人と台湾人の参加者は愛国心が旺盛なのか、みんな小さな国旗をリックに刺して歩いていました。その中には、親しくなったついでにオートバイに乗せてもらっていた人がいましたね。失格だな、こういう参加者は。
ところでウォーキングは順位関係なく、一定の時間以内に決められたコースを完歩するだけの競技です。僕の一回り年上の友人は、20キロコースを歩いた日本人の中で最も早くゴールしたのだけど、途中でコースを4、5キロショートカットしてチェックポイントを一つ寄っていないのが判明して、失格になりました。失格になると完歩メダルをもらえなくなるだけですが、メダルの有無にこだわる人は相当こだわります。
このコースの難点は、スルタンの墓で有名な場所なのに、なぜか墓が現れず、お参りができないことでしょうか。
谷のコースは、川や谷から見える景色がきれいで、木とワイヤーの吊り橋はよく揺れてスリリングで、おもしろいところです。しかし谷コースは人口が張りついていて交通量も多いので、山コースほどには地元民との交流は期待できません。
ジョクジャはよいところだけど、ボロブドゥールなどの観光地だけを回るのでは、結局いつも同じものを見て観光業で働く人とだけの人間関係でおわってしまう。これでは何回も来る気は起こらないでしょう。しかしこうやってウォーキングに参加すると、主催者のプンバユン第一王女や黒田のおばさんなどみなさんに会えるし、参加者や地元の人たちとの接点も広がる。そして通う回数がふえれば、超有名スポット以外の遺跡や伝統文化への見聞も少しずつ広がって楽しめます。だからジョグジャ世界遺産ウォークは、この町をリピーターとして楽しむには良いイベントだと思っています。
このジョグジャ世界遺産ウォーク、毎年日本ウォーキング協会でウォーキングと観光の4泊5日くらいのツアーを組んで参加者を募集しているので、はじめて参加してみたい人にはお薦めです。主催者のサイトで直接に参加登録して、ホテルと現地の観光をアレンジすることもできます。
僕は今回はジャカルタからだったので、ジャカルタをベースに活動している歩く会のメンバーとして参加しました。HISのアレンジで総勢70名、現地では大型バス3台で動くという大所帯で、一泊二日の強行軍でした。
スタートの旗を持つのはプンバユン第一王女