こんにちは。
サイコセラピストの棚田克彦です。
http://www.tanada-katsuhiko.com/index.php?FrontPage
前回に続いて、
「愛着」の話です。
幸運な状況に恵まれると、
赤ちゃんがが母親の助けを求めたときに、
母親はすぐに必要なものや慰めを与え、
安心と抱擁で包むこむことで、
赤ちゃんは母親との間にゆるぎない愛着を
育むことできます。
そして、
基本的安心感や基本的信頼感と呼ばれる感覚を育みます。
この世界が安心できる場所で、
人は自分の助けとなってくれるものだと信じることができる感覚です。
この感覚は、
物心がつくよりもはるか以前の0歳から2歳までの体験によって、
脳の奥深くに刻み込まれます。
ところが不幸にも、
赤ちゃんが母親に助けを求めても、
それに応えてくれなかったり、
その反応が不安定であったりすると、
愛着が不安定なものになるだけでなく、
基本的安心感や基本的信頼感というものも
うまく育まれません。
0歳から2歳までのこの時期(臨界期)に
愛着を育み損なってしまうと、
後から修正することは非常に難しくなります。
愛着を脅かす、もっとも深刻な状況には2つあります。
一つは、愛着対象がいなくなることです。
死別や両親の離婚によって
乳幼児期に母親がいなくなることは、
幼い子どもにとって世界が崩壊するにも等しい
過酷な体験です。
そうした体験に遭遇した子どもは、
まず泣き叫びます。
そして母親を探し出そうとし、
母親が自分の求めに応えてくれないことに
悲しみと怒りを爆発させます。
現実を受け入れることができず、
それに抵抗します。
「抵抗」と呼ばれる段階です。
そうして数日を過ごし、
母親が戻ってこないとわかるにつれ、
表立って泣き叫ぶことはなくなります。
今度は、
暗い表情で部屋の片隅にうずくまり、
意気消沈して、
無気力な状態を示し始めます。
好きだったオモチャにも触れようとせず、
他の誰にも関心を示さない。
食欲は落ち、
睡眠も妨げられます。
成長が止まってしまうことさえあります。
この抑うつ的な段階は「絶望」と呼ばれます。
さらに数ヶ月が過ぎて、
その時期を乗り越えると、
母親の記憶は封印され、
何事も無かったかのように
落ち着いて生活するようになります。
「脱愛着」の段階に達したのです。
周囲はホッとしますが、
そのために子どもが払った犠牲は
果てしなく大きなものです。
生存のために、
子どもは母親への愛着を切り捨てるという
ギリギリの決断をしたのです。
乳幼児にとって、
もし自分を可愛がってくれていた母親を求め続け、
母親以外を拒否すれば、
それは死につながります。
そこで子どもに残された究極的な選択は、
母親を忘れ、
新しい養育者を受け入れるという道しかありません。
「脱愛着」を起こすことで、
母親を失った痛みから逃れるしかないのです。
愛着を脅かすもう一つの深刻な状況は、
守ってくれるはずの母親から虐待を受け、
安全・安心が脅かされる場合です。
この場合、
子どもは母親を求めつつ、
同時に怖れるというアンビバレント(両価的)な状況
に置かれます。
しかも、
母親がいつ暴力や言葉による虐待を
加えてくるかわからないので、
子どもにとって予測も対処も不可能です。
ただ、
「自分は無力で悪い存在だ。
だからこんな酷い目に遭うのだ」
という罪の意識や自己否定の気持ちを
抱えさせられてしまいます。
子どもは、
どんなに理不尽な仕打ちをされようとも、
母親を愛し、
求めようとします。
そのため、
深く傷付きながらも、
母親を責めるのではなく、
むしろ自分を責める方向に気持ちが向かいます。
「自分がダメな子だから母親は愛してくれないのだ」
そう考えて納得しようとします。
母親に愛され、
認められたいという気持ちは、
それが程よく満たされた状態で成人すると、
大人になる頃には自然と消えてゆきます。
しかし、
その思いを満たされずに育った人は、
いくつになっても心の奥底で、
「認められたい」
「愛されたい」
という思いを引きずることになります。
人によっては成人してからも、
母親に過度に気に入られようとしたり、
逆に母親を困らせたり反発したりするという形で
こだわり続けるのです。
(つづく)
次回、
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のテーマは『愛着』です。
ブログの内容から、もう一歩踏み込んだお話をします。
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では、また。
棚田