ビリーフの作られ方(つづきのつづき) | サイコセラピスト(心理療法士) 棚田克彦 公式ブログ

前回紹介した『意味付け』のビリーフとあわせて、ぜひ、もう一つ知っておいて欲しいのが、『因果』のビリーフです。


何が原因で、ある出来事が起こったのか?


ある状況がなぜそのようになったのか?


その因果関係を主観的な解釈に基づいて導き出した結論、それが因果のビリーフです。


数式の形で表現すると、


X → Y (Xが原因となってYという結果がもたらされる)


となります。


ためしに、以下の○○○の部分を自分なりに考えて、次の二つの文章を完成させてみてください。



(1) 「わたしが今、幸せなのは、○○○が原因だ」


(2) 「わたしが今、不幸せなのは、○○○が原因だ」



この二つの文章は、あなたの幸せ、または不幸せな状況に関する、因果のビリーフを表現しています。


「○○○」が「原因」で、「幸せ(または、不幸せ)」が「結果」です。


例えば、


「わたしは消極的な性格だから(原因)」 → 「成功して、幸せになれない(結果)」


といった具合です。


因果のビリーフは、芋づる式に原因をたどっていくことができます。


「親からの性格の遺伝や親からの育てられ方(原因)」 → 「わたしは消極的な性格になった(結果)」


こうして強く信じ込んだビリーフは揺るぎない真実となり、その当人の人生の生き方に強い影響を与えます。


例を挙げましょう。


ここでもう一つ、考えてみてください。


あなたは自分が成功したり、幸せになるためには、何が必要だと思いますか?


「???(原因)」 → 「成功、幸せ(結果)」


まじめに努力をすることでしょうか?


「まじめな努力(原因)」 → 「成功、幸せ(結果)」


それとも、運でしょうか?


「運(原因)」 → 「成功、幸せ(結果)」


あるいは、人との出会いでしょうか?


「人との出会い(原因)」 → 「成功、幸せ(結果)」


どれもすべて、“あなたにとって”正解です。


あなたが信じていることが、あなたにとっての真実になります。


人は、自分のビリーフが正しいことを証明するために自分のビリーフに沿った行動をとり、その通りの結果を作り出すのです。


ですから、あまりに窮屈なビリーフを信じ込んでいると、自分の可能性を制限してしまうことにもつながります。


たとえば、


「自分の好きな仕事を楽しみながらやることが、成功への近道である」


「自分の好きな仕事を楽しむ(原因) → 成功(結果)」


と信じている人と、


「成功するためには、嫌な仕事も我慢して耐え忍ぶことが必要だ」


「嫌な仕事を我慢してやる(原因) → 成功(結果)」


と信じている人とでは、どちらの方がハッピーな人生を手に入れることができるでしょうか?


さらに、もし、あなたが、


「わたしが成功するためには、今の自分にはない特別な才能が必要だ」


「今の自分にはない特別な才能(原因) → 成功(結果)」


と信じているとしたら、そもそもあなたは成功へ向けた行動をすることはしないでしょう。


なぜなら、達成不可能とわかっているゴールにわざわざ挑戦して無駄な努力をしたい人はいないからです。


もし、今、あなたがなかなか達成できなくて困っているゴール(夢や目標)があるとしたら、そのゴールを達成するためには何が必要であるとあなた自身が思っているかをチェックしてみましょう。


「???(原因) → ゴール達成(結果)」


もしかすると、そこにはあなたのゴール達成を妨げるような制限的なビリーフの存在が見つかるかもしれません。