自治体DX推進―地域×Tech九州で講演/沖縄入り | 田辺かずきのブログ

自治体DX推進―地域×Tech九州で講演/沖縄入り

最新技術をまちづくりに実装するためには、地方自治体と企業などが結び付き、「共創」することが必要。九州初のEXPO「地域×Tech九州」が18~19日、福岡市内で開催されました。私は二日間のトップバッターとして登壇し、「自治体DX」をテーマに講演しました。

 

 

DXの導入に必要なことは、やれることをやっていく、面倒くさがらない、先送りしない。この主体性、積極性が重要です。そして、古賀市がまちづくりの理念としているクロスオーバーによる「共創」。多様な主体の経験や知見、感性が交差することで、社会課題解決のための新たな価値が創造されていく。

 

 

国と地方が連携して進めていくことがとても重要であり、先月実現した河野太郎デジタル担当大臣との面会と、大臣からいただいた「地方からDX推進を盛り上げてほしい」とのメッセージも報告しました。

 

 

古賀市は2020年の新型コロナウイルス禍の始まりと共にテレワークを導入。全国的に見ても自治体での導入は当時かなり珍しく、総務省の事例になりました。2021年度にはデジタル推進課を立ち上げ、自治体経営全体を俯瞰しながら、全ての事務事業を詳細に棚卸するBPR(Business Process Re-engineering)や業務の自動化・効率化を図るRPA(Robotic Process Automation)などに取り組んできています。

 

さらに、2022年度からデジタル庁に職員を派遣し、最前線でデジタル臨時行政調査会など政府の動きを捉え、市政運営につなげています。今年度からはデジタル庁と連携してアナログ規制見直しに着手。これは全国15のモデル自治体に選定されたものです。また、道路台帳などをデジタルデータ化して市民の皆さんに公開、活用してもらえるよう、公開型GIS(地理情報システム)の導入も図ります。生成AI「ChatGPT」についても、既に今月11日の庁議を経て、組織としてセキュリティ対策やリテラシーの重要性を踏まえたうえでの業務利用を認めることを決定しています。

 

こうしてデジタルを市役所に取り入れていく意義は、業務の効率化を図り、人的資源を真に人にしかできない対話的、創造的な仕事などに振り向け、市民サービスを向上させていくことにあります。

 

 

過渡期の今、デジタルを取り入れていく前提を整える作業を積極的にやっていかなければなりませんが、どうしても市役所内部の動きが多くならざるを得ず、市民の皆さんにとって「デジタル推進で何が起きているのか」が伝わりにくい。このため、あえて分かりやすく、「見せていく」ことも必要です。

 

こうしたことから、古賀市は市民ニーズの高い分野である地域公共交通網の充実の一環として、AIオンデマンドバス「のるーと古賀」を導入しています。また、薬王寺温泉の旅館をリノベーションし、新たな時代の働き方や生き方の価値観を捉えたビジネス拠点「快生館」として運営。私も意識的にテレワークで利用するようにしています。これらは、政府のデジタル田園都市国家構想とも連動しています。

 

これらに加え、デジタル活用による「共創」をめざし、公民連携も推進しています。AIに代表されるようにものすごいスピードで技術革新が起きている今、市役所だけで取り組むこと自体に無理があります。OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション(OZCaF)さんと包括連携協定を結び、多くの企業さんとの連携による脱炭素社会をめざす「GX×DX」に着手。福岡工業大学さんとは仮名加工情報の活用、量子コンピュータやAIなど先端テクノロジー活用に知見のあるグルーヴノーツさんともデータ活用による政策立案で連携しています。凸版印刷さんとも市役所手続きのオンライン化など市民の皆さんの利便性向上を図っています。

 

 

今回の講演では、こうしたお話をさせていただきました。デジタルネイティブの感覚に合わせて行政も動かないとダメ、という話もしましたね。これには1980年生まれの私も相当努力を要しますが、そうしないと時代に置き去りにされてしまいます。もちろん、これは行政の姿勢の話で、デジタル格差を生まないよう、スマホ導入など寄り添ってサポートしていくと共に、誰一人取り残さないための市民サービス提供はやっていきます。

 

講演は約30分、質疑応答を含めても約40分でした。ボリューム満点でかなりの駆け足になったため、「スライドの展開が早すぎたよ!」というお声もありそうなので、スライドで使った資料のPDFデータも公開しています。古賀市HPのこちらをご参照ください。

 

 

 

地域×Tech九州を主催し、講師にお声掛けいただいた「あわえ」の吉田基晴社長をはじめ開催にご尽力いただいた皆さん、ご参加いただいた皆さんに心から感謝申し上げます。これからもみんなで力を合わせ、よりよいデジタル社会を切り開いていきましょう!

 

 

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沖縄入り!

 

18~19日、九州市長会の総会が沖縄市で開催されました。「地域×Tech九州」の講演を終え、そのまま福岡空港に向かい、沖縄入りしました。

 

 

「地方自治体が独自に実施する現行の子ども医療費助成制度では、自治体格差を生じることとなっており、18歳までの子ども医療費については、国において全国一律となる新たな医療費助成(無料化)制度を創設すること」

 

 

九州としても18歳までの子ども医療費無料化を国に求めることを決めました。

 

 

総会では、大西一史・熊本市長を新たに会長に選出しました。また、私が県議時代に国会議員で、今年新たに市長となられた方々とも再会。参議院議員だった足立信也・大分市長と、衆議院議員だった宮島大典・佐世保市長。

 

 

 

こうして一緒に市長として切磋琢磨できるのはうれしいですね。

 

そして、会場の沖縄市ではこの夏、バスケットボールのワールドカップが開催されます。みんなで応援しましょう