一般質問―古賀駅周辺再開発とウォーカブル推進 | 田辺かずきのブログ

一般質問―古賀駅周辺再開発とウォーカブル推進

古賀市議会は5日も本会議で一般質問が続きました。5人の議員さんから質問をいただきました。この中で、特に私が市政運営の「1丁目1番地」に位置付けるJR古賀駅東口を含む駅周辺の再開発・再整備について、国と具体的にやり取りを進めた結果、「ウォーカブル推進都市」となり、今後も国と密接に連携して進めていくことを報告しました。

 

 

【古賀駅周辺再開発とウォーカブル推進都市】

 

ウォーカブル(Walkable)とは「歩きたくなる」を意味し、ウォーカブル推進都市は「居心地が良く歩きたくなるまちなか」をめざします。国土交通省が推進する「都市の再生」の概念として示され、都市開発において新しいアイデアから新しい価値を創造し(いわゆるイノベーション)、私たちが豊かに生活できる空間形成を実現します。その核を「歩くこと」に置いた考え方です。

国土交通省がイメージする「居心地が良く歩きたくなるまちなか」は、▽歩行者目線の1階部分にガラス張りの店舗やラボがある(まちに開かれた1階)▽多様な人々の交流が、その空間の多様な使い方とそれらの共存で実現される(ダイバーシティ)▽歩道や公園に芝生やカフェ、椅子などがあり、留まりたくなる開かれた空間(オープン)――といった考え方が挙げられます。

私は市長就任後に発表した「持続可能な都市に向けた経営方針」で「JR古賀駅周辺のにぎわい創出」を掲げており、古賀市としても、この間、古賀駅周辺の再開発・再整備について、▽「出会い」や「まちの賑わい」を楽しむ場の創出▽多様な世代の居住▽歩いて暮らせる回遊性▽魅力の発信▽玄関口にふさわしい印象的空間――をコンセプトに検討を進めてきました。ウォーカブル推進都市について国土交通省はその実現のための具体的な事業を令和2(2020)年度の予算概算要求で示しており、その内容は古賀市の検討してきたコンセプトに沿い、ウォーカブル推進都市を活用することで内外に対して古賀市の玄関口を強く印象付ける効果を見込めると期待しています。

この間、古賀駅周辺の再開発・再整備を担当する都市計画課に活用に向けた取り組みを指示するとともに、私自身が国土交通省都市局を直接訪問し、古賀市のこれまでの取組みを説明しながら、古賀駅周辺の再開発・再整備に関して、格段の協力についてもお願いしてきました。その結果、今後はウォーカブル推進都市に係る国と地方のプラットフォームで政策づくりに参画することができます。こうしたことを説明し、「より充実した国の支援を得ることができるものと考えている」と答弁させていただきました。なお、古賀駅東口を再開発するにあたって、最大の地権者さんにも再開発・再整備の趣旨を既に説明し、ご理解をいただいているところです。

 

 

【通学路の安全対策/西鉄宮地岳線跡地の整備】

 

西鉄宮地岳線跡地の整備に関連して、古賀西小学校と花見小学校の通学路の安全対策についても提案をいただきました。既に古賀西小の周辺については、効果的な安全対策のために「生活道路対策エリア」に先行して登録しているところですが、古賀市として昨年から花見小の周辺についても同エリアの登録を検討してきています。これは自動車の速度抑制効果がある可搬型ハンプの設置やゾーン30の設定などの取り組みを進めやすくなるためです。7月に花見校区を対象に開催した対話集会でも参加者の方々から花見小周辺の安全対策の必要性について意見が出され、私もあらためてその重要性を認識していました。そうした中、8月には同校区の住民の皆さんから生活道路対策エリアの登録と可搬型ハンプを活用した実証実験の要望書が市に提出され、本日の本会議でも議員の方から同趣旨の提案があり、エリア登録と実証実験について検討する旨を答弁させていただきました。今後、その実現に向けて早急に取り組んでいきます。

西鉄宮地岳線跡地の整備については、遊歩道を主とした整備計画案について、今年度、古賀北区、花見小学校区について対話集会を実施し、中川区についても10月に実施予定としており、今後も引き続き各地で実施する考えをお示ししました。なお、今後のスケジュールについては、本日の本会議でのやり取りでも様々な考え方を前向きに共有することができたと実感していますし、今後も開催する対話集会等による意見交換の進捗なども踏まえ、市長として判断していきます。

 

花鶴小学校区の歩道の安全対策についても提起がありました。同校区は美明地区の開発に伴い通学児童が増加傾向であり、また、工業団地等への自転車通勤も多くみられることから、地元からも安全対策の要望が挙がっていました。平成29年に自転車活用推進法が施行され、自転車と歩行者の通行空間を分離する考えが国から示されているところですが、今年度、当該エリアの歩道の安全対策を図るため、後牟田大池線の全体延長710メートルの自転車道設計を行っていることを説明させていただきました。

 

 

【洋式化など多様なニーズに対応する公共施設のトイレ】

 

公共施設のトイレにあり方について、重要な提起をいただきました。高齢化の進展や障がい者の利便性向上、衛生面の改善の必要性、災害時の避難所としての利用、訪日外国人の増加、家庭における洋式トイレの普及など様々な要因から洋式化のニーズは高まっています。

本庁舎とサンコスモ古賀の洋式化の現状をまとめると、▽本庁舎第1庁舎は全17台中8台、洋式化率47.1%▽第2庁舎は全38台中22台、洋式化率57.9%▽サンコスモ古賀は全34台中30台、洋式化率88.2%――となっています。あわせて、車いすの方やオストメイトの方に配慮したトイレの設置や、LGBTなど性的少数者の方の利用をしやすくするための表示方法の工夫にも努めています。

小中学校については、平成29年度に策定した古賀市学校施設長寿命化計画に基づき、全小中学校のトイレの洋式化、床の乾式化を含めた改修を大規模改造の時期も考慮しながら、令和9年度までに順次行う予定としています。また、公共施設のトイレのうち、洋式化する必要がある施設については、大規模改修等の際に改修を検討していきます。

 

【森林政策のこれから】

 

山に関する政策の必要性についても提案がありました。古賀市の山では、近年、薦野城跡の「城の山」が注目を集めています。戦国武将の立花宗茂に仕えた薦野増時の本拠として知られます。現在、柳川市を中心として「立花宗茂と誾千代」のNHK大河ドラマ招致運動が展開され、古賀市も今年から加入した経緯もあります。その城の山には、私も何度か訪れており、頂上からの景色は、古賀市だけではなく、その周辺まで一望でき、本当に素晴らしいと感じました。自然と親しめる山は次世代に残さなければならない貴重な資源です。

こうしたことを踏まえ、市内外から多くの皆さんに城の山を訪れてほしいとの考えから、城の山と近くの小野公園をつなぐ道の整備について提案がありました。実現には様々な課題があり、現時点で具体的に整備に取り掛かるところまでは至っていませんが、これまでも城の山周辺の登山道の整備は、薦野生産森林組合など地域の皆さまの協力で行ってきており、今後も協力しながら継続していきたいとの考えを申し上げました。

なお、古賀市では、森林環境税を活用し、県産材使用木製備品購入事業や荒廃森林整備事業、防風保安林保全事業を行っています。さらに防風保安林保全事業の中でも、特に「樹幹注入」の事業費に県の森林環境税を導入するなど松くい虫防除事業の強化を図っています。今後も森林環境税の有効な活用方法を考えていかなければなりません。

 

 

【校区コミュニティのあり方】

 

小学校区単位のコミュニティのあり方について、課題を共有するやり取りがありました。校区コミュニティは、校区内の自治会や団体さんとの連携組織として位置付けており、これまで自治会だけで行っていた活動を広域で補うことで、優れた人材や豊富な経験などがつながり、地域の課題に多角的な視点から取り組むことができると考えています。例えば、防犯活動や防災訓練、通学合宿などの青少年健全育成、地域のスポーツレクレーションなどが挙げられます。私たち行政は、校区コミュニティの活動の活性化を図るため、あくまでも地域の主体性を尊重しながら支援をしてきました。

こうした中、特に今年7月に市内8小学校区のうち花鶴校区コミュニティが解散したことを受け、今回の質問がありました。昨年度末にコミュニティ推進課が校区コミュニティの継続に関して相談を受け、それ以降、自治会との調整や会議の場に入り、持続可能な運営方法についてアドバイスするなど支援してきましたが、解散を選択された経緯があります。その背景には、担い手の高齢化や後継者の不足、地域活動への関心・参加意識の低下などの課題がありました。これはどの校区コミュニティや自治会、団体などにも共通しているといえます。市としては、今後、花鶴校区での校区コミュニティ組織についてはあらためて機運の醸成を待ち、地域の方から立ち上げのご相談があった場合は、速やかに支援ができるような体制を維持していきます。また、他の校区コミュニティについても情報の共有や必要な支援を継続していきます。

なお、市職員が地域活動に積極的に参加すべきとの提起もありました。職員は市民の立場になって考え、市民・地域のために業務遂行していくことを期待されています。そのため、地域に出向き、その現場で市民の皆さまと交流することは重要です。一人一人が既にその実践に努めてきていますが、職員のさらなる地域活動への自主的参加を期待するとの考えを申し上げました。

 

【文化財の保存と活用】

 

このほか、文化財行政の推進も取り上げられました。国史跡・船原古墳の遺物埋納坑から500点を超える大量の馬具が発掘され、現在、国・県・市が連携して調査と保存を進めているところですが、今後、こうした貴重な文化財を観光資源やまちづくりに「活用」していく視点がとても重要です。市長として、教育委員会と密に連携を図り、推進していく考えをお示ししました。