オペラシティのプログラムの解説とGadjievさん自身の言葉で曲目の解説をしてくれました



プログラムの冒頭は:
コリリアーノ:オスティナートによる幻想曲 (1985年)

ガジェヴの言葉より:
このプログラムの異例な幕開けを飾るコリリアーノの《オスティナートによる幻想曲》は、いわば「流動的な」探求を開始し、やがてプログラム前半のメイン・テーマの到来をゆっくりと告げます~すなわち、ベートーヴェンの《アレグレット(交響曲第7番)》が抱く悲嘆のテーマです。《幻想曲》は非常に自由な形式をとりつつ、簡明なモチーフへのアプローチ方法をあらゆる角度から探求します。そこでは方向喪失の感覚が私たちの脳裏を去らず、安定した形式による解決を求めます。
コリリアーノ:オスティナートによる幻想曲 (1985年)
スチュワート・グッドイヤーのピアノで

東京編②
コリリアーノに続いて、ベートーヴェン/リスト編:交響曲第7番から第2楽章アレグレット。
ミニマル的なコリリアーノ作品ではガジェヴの想像力や音の色彩感が試されますが、その中で断片的に登場したベートーヴェンのアレグレットを、リストの素晴らしい編曲で。シドニーコンクールでのガジェヴ自身の演奏でお楽しみください👇


(第2楽章は12分~)

ガジェヴの言葉より:
このプログラムの異例な幕開けを飾るコリリアーノの《オスティナートによる幻想曲》は、いわば「流動的な」探求を開始し、やがてプログラム前半のメイン・テーマの到来をゆっくりと告げます~すなわち、ベートーヴェンの《アレグレット(交響曲第7番)》が抱く悲嘆のテーマです。《幻想曲》は非常に自由な形式をとりつつ、簡明なモチーフへのアプローチ方法をあらゆる角度から探求します。そこでは方向喪失の感覚が私たちの脳裏を去らず、安定した形式による解決を求めます。
次に私たちがコリリアーノの霊感の源へと至るのは、自然の成り行きです。ベートーヴェンの必然の音楽は、ここまで私たちがより抽象的な言葉を用いて探し求めていたものを、ようやく顕在化させるのです。

東京編③
ベートーヴェンの交響
曲 第7番 第2楽章アレグレットの悲嘆のテーマに続いて演奏されるのは、リスト:葬送(「詩的で宗教的な調べ」より)
ヴォロドスの演奏で


ガジェヴの言葉より:
そしてリストの《葬送》へと移ります。この曲はショパンの追悼曲とみなされており、《アレグレット》をしのぐ管弦楽的な表現に満ちています。 ベートーヴェンが遺した偉大な系譜は、幾つにも枝分かれしています。なかでも彼の音楽のドラマティックな特性はリストに確たる影響を与えています。さらに、リストからスクリャービンが大きな影響を受けていることは間違いありません。

東京編④
リストの葬送に続いて、スクリャービンのエチュード。まだ詳細をお伝えしていませんでしたが、Op. 42-4, Op,8-8, Op.8-12 他を演奏する予定です。
ホロヴィッツの演奏で👇


ガジェヴの言葉より:
リストからスクリャービンが大きな影響を受けていることは間違いありません。そのためプログラム前半は、スクリャービンの《練習曲集》op. 8とop. 42からの数曲で閉じられます。ここで私たちは——おそらくは幾ばくか——より極端な親密性、官能性、ドラマ性を目の当たりにしながら、感情の振れ幅を広げていくことになります。

東京編⑤
後半はショパンの24のプレリュードより6曲。第23、22、18、13、10、2番と順番をいれかえて弾きます。

ガジェヴの言葉より:
プログラム後半の冒頭では、ショパンの遊び心に富んだへ長調の前奏曲が、私たちを前半の雰囲気から引き離し、希望を授けてくれます。でもそれは、ただの錯覚です。なぜならすぐに、22番、18番、そして——13番の崇高な牧歌的光景を挟みつつ——10番の前奏曲が、陰気なムードを回帰させるからです。最後には2番を置きました。この曲番の逆行は、おそらくは《前奏曲集》中で最も実験的な曲とともに締めくくられるのです。


東京編⑥
ショパンのプレリュードの後は、スクリャービンのソナタ「黒ミサ」。音源はアシュケナージの演奏より。


ガジェヴの言葉より:
ショパンの前奏曲2番が問いかけるように終結したあと——この音楽がもつ磁力は、調性と旋法の漠然
とした関係性に起因するのですが——、私たちは、調性から解放された世界へと足を踏み入れます。スクリャービンの《ソナタ第9番「黒ミサ」》では、悪の力が神秘主義的に顕在化します。それは和声と旋律と律動がマグマのように渾然一体となる音楽的領域でもあり、聞き手を当惑と法悦にいざないます。
これほど変化に富んだ旅を、どのように終えたらよいのでしょう?

東京編⑦スクリャービンの黒ミサに続き、プログラムの最後はベートーヴェンのエロイカ変奏曲。演奏はグレン・グールドで👇

…(最後のフーガのみ)


ガジェヴの言葉より:ベートーヴェンの《エロイカ変奏曲》は、生の多彩な要素と豊かさを余すところなく肯定します。この上なく豊かな精神をそなえた音楽であり、この上なくシンプルな作曲手段による音楽でもります。私たちは、冒頭のわずか4つの音(ミ♭-シ♭-シ♭-ミ♭)から全てが生じているような印象を抱きつつも、4音の無限の組み合わせと無限の創意に導かれて、ピアノを、オーケストラを超えるものとして知覚することになります。歓喜に満ちたフーガが、この極めて強烈なプログラムに終止符を打ちます。


東京編のプログラムの解説、坂垣さま&Alexありがとうございます😊

これを見ながら、東京編の予習をして楽しみにしています💖

🇮🇹イタリアにいるお友達が、イタリアでのリサイタルのエロイカの一部を送ってくれました。 



これでますますオペラシティへの期待が高まりました♪♪🩷✨