『しょせん他人事ですから』 | なにわの司法書士の徒然草

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テレビ東京金曜20時のドラマ『しょせん他人事ですから』

 

 

中島健人にとっては、SexyZone脱退後初の連ドラ主演

 

もうしばらく間が置いて、俳優としてイメージチェンジしていくかとも思ったが

 

脱退から3か月しか間を置かず、これまでと同じようなキャラクターでの主演となった

 

 

中島健人が演じるのは、一風変わった感じの弁護士

 

パラリーガルの白石聖と2人だけの事務所の壁には「他人事」の掛け軸

 

一見全くやる気がなく、法律相談会でも相談者に寄り添うこともなく成立件数ゼロ

 

涙ながらに被害を訴える志田未来を前にしても『しょせん他人事じゃん』

 

白石聖も理解できない奇人変人として描かれている

 

 

ただ、この考え方、法律相談を受ける人間ならば誰もが理解できるはず

 

依頼者に感情移入しすぎると、冷静な判断を見失うだけでなく

 

「大丈夫」「必ず助けます」などと過度な期待を持たせてしまうことになってしまう

 

あくまで依頼者と一定の距離を保ち、メリットだけでなくデメリットも説明して

 

依頼者の真意を探り、ベストな解決法を探ることが必要

 

そういう意味ではとても優秀で、実は依頼者に優しい弁護士とも言える

 

 

第1話がブログの炎上騒動で次回予告もネットの誹謗中傷

 

また、白石聖も、過去にネットの誹謗中傷で苦しんでいたと思わせるシーンがあり

 

今作は、ネットトラブルに絞って描かれていくように見える

 

数年前の誹謗中傷による自殺問題や動画配信者のマナーの問題など

 

一般人の関心も高いテーマで、タイムリーな作品と言えるだろう

 

 

そして、個人的な思いとして、少しでもネットに関わっている一般の方々は

 

是非とも今作を見てほしい気がする

 

というのも、ネットトラブルに関する法律、対策、手続きなどなど様々な情報を

 

法律知識の無い人でもわかるような言葉で、イラストなども使って

 

すごく丁寧に説明してくれているから

 

よく書店などで、一般人向けに「ネット110番」的な書籍が並んでいるが

 

まさにそれを映像化したような作品

 

自分がいつ被害者だけでなく加害者になるかもわからない昨今

 

トラブルに巻き込まれないため、巻き込まれたときに適切な対処をするため

 

非常に有用になりそうな作品だ

 

 

弁護士ドラマというと、えてして弱い者の味方となる弁護士が格好良く解決をして

 

勧善懲悪でハッピーエンド、という作品になりがちだが

 

今作はいろいろな現実を見せてもくれる

 

まず、解決方法として情報開示請求や慰謝料請求をすれば万事OKと思われがちなところに

 

そのための時間と費用という現実を突きつける

 

さらに、情報開示請求にしても相手が簡単に応じるとは限らないこと

 

そして何より、和解という、互いに納得したはずの解決方法を選択したのに

 

相手方が解決金を支払わない可能性があるというありがちな現実

 

和解や判決で決まった支払いを相手方がしない場合に、自分は何もしなくても

 

裁判所が取り立てて届けてくれるような夢物語を信じている依頼者を現実に目にしてきたが

 

今作は、和解をして、目の前では涙ながらに謝罪をしたように見えた足立梨花が

 

全く反省せず、「踏み倒してよかった」と笑って生活しているというリアルな現実を描いている

 

 

このあたり、原作自体に「監修」としておそらく弁護士が法律監修に入っていることで

 

現実を見てきた現場のリアルな姿を描いているのだろうし

 

今作のドラマにも、その原作の監修者が法律監修をしているという珍しい構図

 

弁護士は、とかく難しい法律用語を使って法律の世界を難解なものに仕立て上げがちだが

 

逆に一般人に理解しやすい言葉を選んでいるあたりも好感が持てる

 

 

足立梨花が本当に反省しているかどうかを気にかけている志田未来に対して中島健人が言う

 

「善悪ではなく勝ち負け」「勝ったということだけを考えましょう、しょせんは他人事」

 

という言葉、タイトルの真意はこちらの方にあるのかもしれない