『燕は戻ってこない』 | なにわの司法書士の徒然草

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NHKテレビ火曜22時のドラマ『燕は戻ってこない』

 

 

民放では成立しない、NHKだからこそ放送できる、そんな社会問題を題材にしたドラマ

 

これまでも数えきれないほど放送されてきたが、ここまでエンタテイメント性無しに

 

重々しく展開する作品も珍しい気がする

 

 

扱うテーマは「代理母」

 

世界的には認められている国が多いが、日本では認められていない制度

 

需要も供給もあり医療技術もあるが、倫理的観点から禁止されているこの制度

 

外国で「代理母」を利用して子供を授かった有名人が話題になったのはもう20年ほど前

 

それほどの時間が経っても、日本では認められていないわけで

 

今改めてNHKがその是非を問いかけているようにも感じる

 

 

主演は石橋静河

 

派遣の仕事は給料も安く、数年前に妊娠したときには男に逃げられ中絶も経験

 

女であることで得したこともなく、損してばっかりだと感じながら

 

安アパートの生活から抜け出せない29歳

 

そんな生活に嫌気が差して、同僚の伊藤万理華に誘われて卵子提供に登録する

 

 

卵子提供なんて献血と同じ、血が誰の体に入ろうが気にしないのと同じで

 

自分の卵子がどうなろうと関係ない、それでお金がもらえれば儲けものと考える伊藤万理華と

 

そんな風には割り切れない石橋静河

 

何度か映し出されるゆで卵の映像

 

「そう、単なる卵の話」と自分に言い聞かせるような石橋静河の台詞が何とも重々しい

 

 

泥沼の人生から抜け出したくて卵子ドナーに登録した石橋静河が

 

面接でエージェントから勧められたのが「代理母」

 

一度妊娠をしたことがあるという事実も「代理母」には適しているようだ

 

 

一方で、子供を欲しがっている夫婦を演じるのは稲垣吾郎と内田有紀さん

 

不妊治療を続けながらも流産などがあったようで、内田有紀さんの手元には3冊の母子手帳

 

もう諦めようと夫婦でペットショップで犬を選んだりしているが

 

少しでもチャンスがあるならと稲垣吾郎が提案したのが「代理母」

 

 

稲垣吾郎が勝手に登録しただけで、内田有紀さんの思いは描かれていないし

 

卵子の提供だけだと思っていた石橋静河の結論もまだ出てきてはいない

 

しかも今回の石橋静河のケースは、受精卵を体内に入れて体を貸すだけでなく

 

稲垣吾郎の精子を体内に注入して石橋静河の卵子と受精させるという形式で

 

妊娠中も出産後も「自分の子供だ」という気持ちがどんどん強まって来るはずで

 

それこそが「代理母」制度を巡る課題の中心でもある

 

医療技術や法律をいくら手当しようが、最後まで正解にはたどり着かない人間の心の部分

 

3人がこの難役をどう演じていくのか、名優の演技に期待したい