『滅相も無い』・最終回 | なにわの司法書士の徒然草

なにわの司法書士の徒然草

つれづれなるままに日暮らし
PCに向かいて
心にうつりゆくよしなしごとを
そこはかとなく書きつづれば
あやしうこそものぐるをしけれ

毎日放送(TBS系列)火曜24時59分のドラマ『滅相も無い』

 

 

何を描きたいのか、作品を通して何を伝えたいのか、それが明確に見えないドラマや映画は

 

山ほどあるのはある

 

しかし、そうは言ってもたいていはぼんやりとその姿が浮かんではいたりするものだが

 

ここまで何も見えない作品は珍しい

 

こういう作品を「シュール」と称して称賛する向きがあったりもするが

 

わからないものはわからない

 

 

冒頭の設定としては、何が始まるのか、何が起こるのか、ワクワクさせるものだった

 

世界中に巨大な穴が現れる、しかも7つも

 

穴に入っていく者も多くいるというのに穴の実態は全くわからない

 

当然、穴に入った、戻って来る来ない、電波が通じるかどうか、なんて

 

穴を通じた物語が紡がれるものと思っていたがそんなものはほぼ無し

 

 

基本となるのは、穴に入ろうとして1つの宿泊施設の集まった8人の男女のひとり語り

 

堤真一さんが設立した宗教のような団体の面々で、穴に入る前に

 

穴に入る理由を記録しなければならないというルールが設定されているのだが

 

それぞれが語るのは自分の生い立ち、自分の生き方を決めたエピソードなどなどを

 

振り返る話だけで、穴に入ろうと思った理由なんて誰も語らない

 

 

その人生の振り返りも、8人が集まった場で語って、他の7人が相槌を打ったり

 

リアクションをしたりという形ではなく、回想シーンを演じることで進んでいく

 

1話の大半が回想シーンで進んでいくため、他の出演者が全く映らないことも当たり前のこと

 

せっかく窪田正孝や上白石萌歌、中川大志など主演級を揃えているのに

 

自分の語る回以外はほとんど画面に映らないというのはもったいないにもほどがある

 

 

この団体の主宰である堤真一さんにしたって、第1話に少し登場した後は

 

最終回のラストで1分ほど窪田正孝と会話をするまで全く出演は無し

 

どうやら、撮影スケジュールを柔軟にするために、8人の一緒のシーンは一日で撮り終えて

 

あとは各出演者ごとに別々に撮影することで予算的にも安く済ませたのだろう

 

堤真一さんに至っては、出演シーンはおそらく全部で2分程度

 

他の作品の合間に片手間程度に撮影することだってできそうなぐらいだ

 

そう考えると、回想シーンもロケなど全くなく、だだっ広いテレビ局のスタジオに

 

学生演劇の舞台装置程度のセットを置いて撮影していたのもうなづける

 

 

普通こういう作品は、最終回に総括するような展開があるものだが

 

最終回は窪田正孝の生い立ちのエピソードが大半を占めていて

 

ようやくラスト3分で窪田正孝と堤真一さんが会っているシーンに

 

何が語られるのかと思ったが、キーになるような台詞は「人は虚構しか共有できない」ぐらい

 

もしかすると、穴の話を共有して集まった8人の話、この巨大な穴も虚構だったということか

 

ますます理解できない