『奪われた僕たち』・最終回 | なにわの司法書士の徒然草

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あやしうこそものぐるをしけれ

毎日放送(TBSテレビ系列)木曜25時29分のドラマ『奪われた僕たち』

 

 

なんとも狂気的なサスペンス作品だったが、この作品のテーマは何だったのか

 

最後の2話の構成が特殊だっただけに、視聴者を悩ませる作品だ

 

 

法で裁けない悪人を処刑し続けている荒牧慶彦と

 

その様子を世間に広めるように取材、撮影を依頼されるテレビマンの須賀健太

 

その結末は、子供の頃に毒物による大量殺人によって両親の命を奪った須賀健太が

 

荒牧慶彦の母親がその犯人で、毒物は荒牧慶彦自身が購入したものだという告白を受け

 

荒牧慶彦をアイスピックでめった刺しにするというもの

 

 

第5話のラストは、荒牧慶彦が使用していた毒物の入ったアタッシュケースと

 

撮影用のカメラを手に、人々が行き交う街をさまよい歩く須賀健太の姿

 

これで終わるのであれば、この作品のテーマは「人間の狂気性の伝染」とでもなるのだろう

 

 

ところがドラマは第5話では終わらずにもう1週続き

 

第6話には「特別編」という括弧書きが付される

 

この第6話は、ピアノ教室の講師をしている荒牧慶彦の生徒である小学生が

 

ピアノのコンサートを怖がっているというエピソード

 

須賀健太と荒牧慶彦が協力して、この少年のトラウマを解消してあげるという結末

 

もし5話までのストーリーが無くこの第6話が放送されたとすれば

 

何ともほっこりした雰囲気の漂う30分だっただろう

 

 

しかし、荒牧慶彦は何人もの人間を毒物で処刑してきた男

 

そんな男が1人の少年のトラウマ克服に一生懸命になるという姿

 

須賀健太の「あなた何者ですか」の質問には、「ただの殺人者ですよ」と答えてはいるが

 

それが冗談っぽく聞こえるほどの清々しささえ感じるシーン

 

もしこの第6話を含めて連続ドラマの完結だとするならば、テーマは「人間の二面性」か

 

だとすれば、須賀健太の二面性、取材者と殺人者というものにもつながるし

 

両親が殺害された事件で、須賀健太は被害者遺族でありながら、その様子をカメラで

 

撮影していた一種の傍観者という側面があったりする

 

 

第5話と第6話に別々の2つのエンディングを用意するという構成

 

第1話から第5話まででも連続ドラマとして完結するが

 

第6話まで見ると全く違った印象を受けることになる

 

これまでこんなドラマは見たことが無く、なかなか斬新な手法だ