『虎に翼』・第1週 | なにわの司法書士の徒然草

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つれづれなるままに日暮らし
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そこはかとなく書きつづれば
あやしうこそものぐるをしけれ

NHKテレビ連続テレビ小説『虎に翼』

 

 

もう朝ドラが新人女優の登竜門だった時代は完全に過去のものになってしまった

 

ここ10年ぐらいは、ほとんどが連ドラや映画の主演経験を持つ女優をヒロインに起用

 

次作の橋本環奈などは紅白歌合戦の司会も既に経験済みだったりする

 

20歳前後の若手女優を起用するという流れも、前作の趣里や安藤サクラ、戸田恵梨香らで

 

そこにこだわる必要も無い雰囲気は出来上がっている

 

 

今作のヒロインの伊藤沙莉も、昨年の『シッコウ』に主演したり

 

NHKでも『いいね光源氏くん』が記憶に新しいアラサー女優

 

趣里同様に、清純派というよりは、狂気的な役を含め様々な役を演じてきた演技派

 

フレッシュ感よりも安定感を求める朝ドラの方向性は今後も続きそうだ

 

 

一方で、実在の人物をモデルにするという朝ドラの流れは継承

 

今作のモデルは、女性初の弁護士で後に裁判官にもなった女性法律家の先駆者、三淵嘉子氏

 

失礼ながら、法律を携わる仕事をしておきながら全く聞いたことのない方

 

今作でその功績を勉強させてもらうことになる

 

 

朝ドラで弁護士というと、『ひまわり』の松嶋菜々子さんが思い浮かぶが

 

現代劇でフィクションだった『ひまわり』とは違い、まだ女性の地位が確立していない戦前の話

 

実在の人物をモデルにしている点でも、『ひまわり』のようなドタバタ劇ではなく

 

重厚な人間ドラマになっていきそうな気はする

 

 

『虎に翼』という、朝ドラというよりも大河ドラマのような重いタイトルだが

 

ヒロインの役名がタイトルに入っているという朝ドラの特徴も継承している

 

伊藤沙莉の役名は、実在のモデルとはかけ離れた「猪爪寅子(ともこ)」

 

『虎に翼』というのは、強い者にさらに強さが加わるという中国の故事らしいが

 

今作でも、寅の伊藤沙莉が法律という翼を手に入れて羽ばたいていくということなのだろう

 

 

一方で、第1話から伊藤沙莉が出演しているというのは今作の特徴

 

朝ドラというと、最初の1週から多い時は3週目ぐらいまで子役が幼少期を演じてから

 

ヒロインが満を持して登場することが多いが、今作は幼少期は一切描かれず

 

逆に言えば、伊藤沙莉の将来の夢につながるエピソードは全て女学校以降にあるということか

 

ただ、伊藤沙莉を法律の道に誘う小林薫さんと、父親の岡部たかしは

 

かつて共に法律を学んでいたような様子で、もう少し幼少期のエピソードがあっても

 

よかったようにも感じる

 

そこはモデルがいるのでできるだけ史実に忠実に、といったところだろうか

 

 

ストーリーの方は、結婚して家庭に入るのが女性の幸せという常識に疑問を感じて

 

親の決めた見合いが嫌で家出をしようとしたりしていた伊藤沙莉が法律に出会い

 

小林薫さんの勧めもあって、大学の女子部に入学、弁護士を目指していくというもの

 

反対していた母親の石田ゆり子さんも、松山ケンイチの女性を馬鹿にしたような発言に逆上

 

見合い用の振袖を買いに行くはずが、伊藤沙莉を連れて書店で六法全書を購入

 

家の中の最大の敵を倒し、今度は松山ケンイチのような考えの多い男社会に立ち向かっていく

 

次週には早速大学に入学、共に男と戦っていく戦友には平岩紙さんや桜井ユキの姿が見えた

 

 

伊藤沙莉が家出をしようとした時の言い訳が「梅丸少女歌劇団に入ろうと思って」

 

記憶に新しい、『ブギウギ』で幼少期の趣里が入団した歌劇団だ

 

そういう目で見ると、父親の岡部たかしは銭湯の常連客だったし

 

水川あさみの実家が香川県だったように、石田ゆり子さんの実家も香川県の丸亀

 

どこまでを意識したものなのかはわからないコラボだが

 

どこかで伊藤沙莉が福来スズ子のショーを見に行く、なんてことがあるとネットが湧きそうだ

 

 

ナレーションを尾野真千子さんが担当しているというのも興味深い

 

ナレーションというと出演者の誰かかNHKのアナウンサーが担当することが多い

 

こうして出演していない俳優が担当することも無くは無かったが

 

朝ドラヒロイン経験者がナレーションで朝ドラに戻って来るというのは初めてな気がする

 

特に尾野真千子さんは『カーネーション』以来、朝ドラ自体に出演していないと思うので

 

このナレーションが朝ドラへの凱旋ということにもなる

 

もしかすると終盤でワンシーンぐらい出演もあるのかもしれず、そのあたりも注目だ