『おいしい給食 season3』・最終回 | なにわの司法書士の徒然草

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KBS京都月曜22時30分のドラマ『おいしい給食 season3』

 

 

市原隼人が給食を愛してやまない「給食変態」の中学教師を演じる作品のシリーズ第3作目

 

無条件に笑えてちょっぴり泣ける、そんな良作

 

最終回のラストでは「給食バトルは続きます」というテロップ

 

このあと劇場版の第3弾、そして連続ドラマのシーズン4へと、まだまだ楽しませてくれそうだ

 

 

給食を愛するあまりに、給食前の校歌を踊りながら歌い、給食時には小芝居が入ったり

 

時には興奮のあまり椅子から転げ落ちたり、傍から見ると変態そのものの市原隼人

 

それでも、厳格な教師であろうとする市原隼人としては、自分が給食が好きだということは

 

誰にも知られてはいけないとひた隠し

 

これまでの2作では、そんな市原隼人の様子を指摘するものは誰もおらず

 

市原隼人に面と向かって「給食が好きですよね」と言えるのは

 

給食センターのいとうまい子さんだけだったし

 

校歌を歌ったり給食を食べている時に市原隼人の奇行に目を向ける生徒は誰もいなかった

 

 

ところが、第3弾となる今作ではそのあたりが大きく変化

 

いとうまい子さんだけでなく、校長の小堺一機さんも市原隼人の給食好きを認知

 

給食愛をぶつけ合う生徒の田澤泰粋からも序盤のうちに、「先生と同じで給食が好きです

 

先生のように楽しそうに食べるのが目標です」と言われてしまう

 

そして、生徒の中には校歌を歌う時に、市原隼人と同じように毎回踊る女子生徒が1人

 

副担任の大原優乃もその奇行に気付いていて、父親で教師のモーリー・ロバートソンが

 

一緒に給食を食べる際には、必死になって市原の姿を見せないように隠そうとする

 

 

そして、このことが今作の感動ポイントにつながっていく

 

市原隼人の奇行を問題視したモーリー・ロバートソンが、教育委員会に報告も辞さない構え

 

市原隼人の転勤を阻止したい大原優乃からは、ラストチャンスなので、給食中に席を立たない

 

できるだけ音を立てない、校歌も控えめにという3点を守るようにお願いされる

 

まるで愛の告白のような「私、先生の近くにいたい」という大原優乃の言葉に打たれたのか

 

校歌が流れても微動だにせず歌おうともしない市原隼人

 

食べ始めても、心の声はいつもどおりだが体を動かすことは無し

 

献立が味噌ラーメンだというのに、音をたてないように麺をすすらず慎重に食べ進める

 

 

そんな様子を見ていた田澤泰粋が思いきり麺をすすり上げて市原隼人に向かって笑顔

 

市原隼人も、それがラーメンなんて音を立ててすすって食べるものだと伝えているのだと気付く

 

さらに全生徒が市原隼人の方を向いてラーメンをすすり始め

 

モーリー・ロバートソンの横に座る大原優乃までもが、全力で麺をすすり始めて無言の激励

 

市原隼人はその姿に少し涙も浮かべ「いざ自分の道を進もう」と全力で麺をすする

 

教室の引きの映像になり、生徒全員が市原隼人に歩調を合わせて同時に麺をすする

 

生徒もみんな、市原隼人の奇行を見ていたのか

 

いや、それを「奇行」などとは思っておらず、市原隼人が給食を楽しんでいると

 

そういう風にしか感じていなかったのではないか

 

田澤泰粋が言っていた「先生のように楽しそうに食べるのが目標です」の言葉が甦る

 

孤独に給食を楽しんでいたと思っていた市原隼人は、実は1人ではなかった

 

前2作では、最終回の感動シーンは、給食愛を争った生徒の佐藤大志1人だけとの

 

心の交流を描いていたが、今作では教室全体とつながることになった

 

 

田澤泰粋との交流に関しても、前2作の佐藤大志とはあくまでライバルとして競い

 

「敵ながらあっぱれ」といった感じでの心のつながりだったが

 

今作の田澤泰粋はもっと直接的

 

グラタンの表面のカリカリをこよなく愛する市原隼人が列に並び遅れてしまうと

 

列の先頭で大量のカリカリをゲットした田澤泰粋は、市原隼人にカリカリをおすそ分け

 

プリンをプッチンしたい市原隼人がコンパスで穴を開けることに失敗すると

 

偶然か故意か、田澤泰粋が持ち出した千枚通しが市原隼人の足元に転がって来て無事プッチン

 

佐藤大志とはあくまで好敵手という関係性に終始したが

 

ラストシーンで、田澤泰粋の缶ぽっくりを市原隼人がやって、まるで友達のような風景

 

市原隼人の教師像、生徒への関わり方も、第1弾から4年が経って変化してきたようだ

 

 

これまでは給食を食べる専門だった市原隼人が、料理を作る方に回ったのも新しい試み

 

家庭科の授業で作ったエビドリアを給食の時間に食べるということで

 

市原隼人と大原優乃も調理実習に参加

 

母親が料理が下手なために、唯一のまともな料理である給食が好きになった

 

そんな市原隼人にとって料理なんて未知の領域

 

図書館で料理の本だけでなくエビの図鑑まで山積みにして調理実習に臨んだ市原隼人も

 

遺伝子には勝てず、味付けの工程を忘れて全く味の無いエビドリアが完成

 

3作目にして初めて、市原隼人が『おいしい給食』を食べられない回になった

 

 

函館が舞台ということで、海鮮ちらし寿司やカニメシ、石狩汁などなど

 

馴染みのない献立が数々登場したのも楽しかったし

 

給食にストーブがあるということを利用して、田澤泰粋がカニ身や銀杏を焼いたり

 

焼きおにぎりを作って汁につけてお茶漬け風にしてみたり

 

米飯の米をつぶして平たくしてストーブで焼いてナンのようなものを作って

 

カレースープにつけて食べるなんていう工夫も、北海道ならではのもの

 

これを想定して函館に転勤させたのだとすれば、なかなかの策士だ

 

 

第3弾にして初めて試みられたコラボCMも興味深い企画

 

京都テレビという独立局では、系列局と違って大きなCMが入らないことが常なのに

 

「食」をテーマにした作品に共感したのか

 

どん兵衛の赤いきつねと緑のたぬきのCMで、市原隼人が給食の時のように

 

もだえながら食べるというのが基本形だったが、もう1パターンとして

 

市原隼人と田澤泰粋が、本編で悪夢を見た調理実習で緑のたぬきを作るという設定

 

オーソドックスに天ぷらを入れて湯を入れる市原隼人に対して、途中で入れる田澤泰粋

 

そして仲良く並んで食べる2人と、ラストの友達のような関係を思わせる画

 

本編とリンクしていて面白いCMの作りだった

 

 

1点だけ中途半端な状態に終わっているのが「ホワイトマン」

 

学芸会が行われるということで、市原隼人が台本を書き上げた作品が「ホワイトマン」で

 

配役が決まり、最終回では朝練をしているのだが、それ以上の進展は描かれず

 

もしかすると、これまで同様に続きが劇場版として描かれ

 

その中で学芸会が開催されて「ホワイトマン」が上演されるということだろうか

 

市原隼人が給食からヒントを得て書き上げ、田澤泰粋が「ホワイトマン」を演じる作品

 

どのような作品になるのか、いつ目にできるかわからない劇場版が待ち遠しい