ふと


言い様の無い虚無感に
襲われることがある。





アイロンもせず皺だらけの
仮縫いのシーチングを纏い
静かに立つボディ

無造作に折り重なって
壁に寄りかかるクラフト紙

昨日から敷きっぱなしの布団

その枕元には昨日脱いだままの
真っ赤なニットセーター

もう何日も触っていないミシン

ミシンの前にあるはずの椅子は
昨日家族とお茶を飲むために
隣の部屋に動かした、そのまま。












映画を観た。


感想を聞かれたけれど、
上手く表現が出来ない。

様々な、本当に様々な感情が
其々ほんの少しだけ高ぶって、
なにか大きなモノとなって
わたしの中に入ってきたのだけど、
ソレに上手に名前を付けられない。
上手に取り込むことも、出来ない。


他人はソレを“感動”と
呼ぶのかもしれないけれど、
わたしにはわからない。







映画の中のひとりの男が
言ったある台詞が
あれからずっと残っていて
頭の上の方でゆらゆらと
揺れながらついてくる。


その男の自殺という最期が
わたしは納得がいかなくて、















布団に入って

ボディとミシンを
視界に捕らえながら。



端に赤色が見える。













虚無感。



そして

名前もわからないこの感情。











なんだか、







遠い。













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