第356回【外国にも通用する松下イズム】
松下幸之助さんは『新潮45創刊号』で松下イズムについて述べたことがあります
「人間を大事にする。これが根本だ。松下イズムと呼ばれるものがあるとすれば、それは人間を大事にすることだと言う以外にない」
このことは日本も外国もない。みんな同じだという
松下さんが会長だったころ。会長の部屋にあった屏風(ぎょうぶ)に、アメリカ松下電器の組織表とたくさんの社員の写真が貼ってあった
アメリカ出張を前に、相当前から顔と名前、仕事内容を毎日のように繰り返し覚えるためである。課長職の秘書の写真と名前まであったという
『松下幸之助全研究第2巻』にはこんな話があります
インドネシアのナショナル・ゴーベル社のゴーベル会長が10周年に記念アルバムを持って松下電器本社を訪れる
十何人かの幹部が供覧してくれたが、一番丁寧にアルバムを見てくれたのは松下さんだったという
松下さんは一枚一枚丁寧に見て、途中“従業員は喜んだか”と質問。誰よりも2倍、3倍も時間をかけて見てくれたという
そして、ジャワ更紗(さらさ)の壁掛けも記念に贈呈した
松下さんは「きれいやな、きれいやな」と大喜びで「一番ええところに掛けとくわ」と約束
3日ほどして松下さんの秘書から電話で呼び出される
すると例の壁掛けが、松下さん専用の車寄せの正面に掛かっている
毎日、松下さんが見るところである
社交辞令かと思っていたら、本当に一番いいところに掛けてくれた松下さんの誠心誠意にゴーベル会長は心から感激したという