第355回【松下翁のお茶に家元が感動】 | 【松下幸之助、創業者、名経営者、政治家に学ぶ】          

第355回【松下翁のお茶に家元が感動】

ようやく手に入った昭和57年に刊行された『松下幸之助全研究第5巻』に貴重なエピソーが多くありました

 

 

松下さんほど人を感動させた経営者はいないと思いますが

 

 

裏千家の家元、千宗室(せん・そうしつ)さんの証言にも松下さんに感動し、松下さんの本質が分かるエピソードがありました

 

 

「南禅寺畔の真々庵(しんしんあん)という先代家元命名の茶室がある。その茶室で、洋服のままで正座され帛紗(ふくさ)さばきを見事にされながら、私に一盌(いちわん)のお茶をすすめてくださる松下氏は、茶名宗晃という茶人になりきられ、淡々として茶味三昧にはいっておられるお姿を見て、私の胸中が熱くなるのを覚える。世に事業家といわれ、その事業を立派に推進している人は多くあろうが、多忙ななかで寸暇をさいて一盌のお茶を人に捧げ念じられるような人はそうあるものではない。松下氏は信念の人であり、神仏に対して篤信の人であり、人に対して思いやりの心を示す人であるからこそ、一盌のお茶を点(た)てられる姿にも人間として真の相(すがた)があるのだと思う」

 

 

松下電器3代目社長の山下俊彦氏もこのように述べたことがあります

 

 

「お客さんを接待するとき、松下電器がまだ小さかったときは、取引先を招待しても若い人が代理で来ることが多かった。しかし、そんなときでも、創業者(松下幸之助)は盃を持って回り、全員の前でちゃんと正座されるのです。私たちが見ても、あそこまでしなくても・・・・と思うような若い人に対してさえ、まったくその店の主人と同じように接し、きちっと頭を下げられるわけです。こうした姿勢は、終始変りませんでした」

 

 

松下さんの晩年の最側近であった江口克彦先生の著書『上司の教科書』にも

 

 

「松下さんは・・・・相手が政治家であろうが、大会社の社長であろうが、ただの主婦であろうが、まったく同じ姿勢で話を聞いた。文句を言う人、反対の意見を言う人に対しても真剣に耳を傾けた。この松下さんの姿勢が多くの人を感動させたのである」

 

 

松下さんの立ち居振る舞いに感動するのは

 

 

どんな人にも同じ姿勢で思いやりの心を持って接するからだと思います