第340回【人事のバイブルが手に入りました】
イオングループには人事・組織専門経営のレジェンドあるいはイオングループ発展の蔭の功労者と呼ばれた人がいました
創業者、岡田卓也氏の実姉小嶋千鶴子(故人)さんです
東海友和氏の著書『イオンを創った女 評伝小嶋千鶴子』は
ユニクロの創業者、柳井会長が「今まで読んだ人事の本で最高の本」と絶賛
私も昨年読みました。この本でよく引用されていたのが
小嶋千鶴子氏の著書『あしあと』である
この本が非売品のため手にすることができなかったが
ようやく手に入り読むことができました
驚くことばかりであった
小嶋さんは大変な勉強家でそれもすべて人材育成に活かしている
ドラッカーを愛読し
思想家の安岡正篤氏から学び
徳川家康や明治天皇も愛読していた、帝王学の教科書『貞観政要(じょがんせいよう)』まで読んでいる
『貞観政要』は創業のあとの守成をいかにやり遂げるかが最大のテーマである
小嶋さんは創業のときに能力があっても必ずしも守成の能力者ではないとし
創業のときは夜も昼もなく働く。そうでなければ創業はできない
しかしあるときからはそれをやめ。部下の意見を聞き、信頼し、仕事を任せていくよう子会社の責任者によく言って聞かせたという
また、大きな発見があった
松下幸之助さんからも学んでいた
松下さんのことを
「人そのものが最大の資産であることを知り尽くした偉い人であった」
と述べています
松下電器の3代目社長の山下俊彦さんが
「人間はだれでも長所短所がある。長所を認めることが大切である。長所はよほど性根をすえて見つめなければ分からない。人間の集団は自発的な意志で働くとき、本当に満足のいく仕事をするものだ。与えられた仕事をそのままやるのと自分の意志でやるのとでは感激がちがう。感激が資産になる」
と、おっしゃっていたとも述べています
小嶋さんは社員をみると
「いいところはないのか考える。すると、必ずいいところが出てくる。不思議とほとんど例外がない」
のだという
そして著書『あしあと』に人材育成の要諦と思える一文があります
「人事は人間を知ることから始まる。人間を知ることは人間を愛することから始まる。愛することは理解することである。よりよく知ることである。個々人は個々に違う。違うことを知ることである。一人一人について、過去どのように生きてきたかを知り、今後どのように生きていきたいかという希望を知り、今どうしているかを知り、目標をもたせることである。人事担当者は知ることから始まる。そのためには、聞くことから始める。注意深く見ることから始める。基本は、愛情である」
同じく松下幸之助さんが松下政経塾でよく話していたのが
「まずは人間を知ること」
「羊飼いが羊の特質や性質を理解することなしに、羊を飼うことができんのと同じこと」
人間を知らなければ人間の良きリーダーにはなれないという
人材育成の第一歩はまず人間を知ること。相手を知ることから全てが始まる
小嶋千鶴子氏の著書『あしあと』は人材教育にたずさわる人の必読の書だと思いました
また、イオングループの人材育成に松下幸之助さんの影響があったことを発見できたことも大きな収穫であった