私たちはケイトウの花
赤色 黄色 ピンク色
もうすぐ母の日
まあるい入れものの中に 私たちはきれいに寄せ集められた
デコレーションケーキのように見せて喜ばせるんだって
お店の隅 他のたくさんのお花たちにまじりそこに置かれた
どんな人に会えるのかな
どんな家に行くのだろう
喜んでくれるかな
毎日本当に楽しみに待っていた
でも私たちはそれから長い間待たされた
とうとう母の日が過ぎ売れ残ってしまった
もう誰かを喜ばせることもできないんだな.. と
そうあきらめかけていたある日
一人のお姉さんがニコニコしながらこちらに近づいてきた
「かわいい 本当にケーキみたい!」
お姉さんは私たちに一目惚れをしたみたいで
お姉さんの家に行くことになった
私たちはキッチンの窓辺に置かれた
お姉さんは毎朝
「おはよう」 「かわいいね」と言って
窓を開けて風を浴びさせてくれた
窓の外には山と川が見えて
太陽の光と風が気持ちいい
お姉さんは料理をしながらいつも話しかけてくれる
私たちはいつもお姉さんと一緒
お姉さんが大好き
お姉さんは時々窓の外を見ながら考えごとをしている
たまに涙を流すこともある
そんな時私たちはそっとお姉さんに寄り添ってこう言う
『お姉さん 私たちはいつもここにいるよ』
『私たちが助けるよ 私たちに話して』
信じてもらえないだろうが
私たちはお姉さんを助けることができる
私たちはお姉さんの笑顔が大好き
お姉さんを喜ばせるのが好き
だから精いっぱいきれいに可愛らしく見せる
私たちが弱ってきて最後の時を迎えると
お姉さんは私たちをそっと引っこ抜き
紙に包みながらお別れのあいさつをしてくれた
「きれいに咲いてくれてありがとう」
「元気にしてくれてありがとう」
「最後まで楽しませてくれてありがとう」 と..
お姉さん 私たちは幸せだった
元気になってくれてありがとう
楽しんでくれてありがとう
喜んでくれてありがとう
お姉さん 私たちを大切にしてくれてありがとう