ぷらっと庭へ出てみると、片隅に真っ赤な花が咲いている。
「おや? アマリリスか?」
確か初夏に咲いたはずだが、今頃になってまた一輪。
「ボケとんのはアマリリスか、それとも俺か?」 思わず首をかしげる。
もちろん、私を待っていたわけではあるまい。
このところの気温にでも勘違いさせられたのだろう。
このアマリリスは、ずいぶん昔に長男の嫁が母の日に贈ってくれた球根花だ。
毎年せっせと株を増やし、今では二十株近くになった。
ところが、人間の方は歳を取り、全部の面倒までは見切れない。
葉は枯れ、植木鉢もあちこちに散らばったままだ。
それでも真っ赤な花を咲かせて、 「ここにおるで!」 とばかりに自己アピールしてくる。
困ったやつだ。
可愛くて、また株分けして増やしたくなる。
まったく愛しきアマリリスである。

