●名誉な「プレミアムレビュー」!
(今回の「小型PC」と形が良く似た玩具の「弁当箱」)
とても面白い話なのだが、何年経ってもあっちのサイトで話す訳には行かない。
もちろん、幾ら面白いからと言って、関係者へのリスペクトは怠らない。
ある程度ぼかして話さないと万が一処分を食らう人が出ても困るので部分的にぼかす。
(「そんな事は無い」とは思うが)
「バレバレ」かも知れないが、公には「どこのサイトの話」かも伏せる。
そこでは、随時、パソコン本体や周辺機器の新製品のレビューを募集して居る。
自分でレビューした製品は、そのまま「貰える」と言うのが何よりも嬉しい。
正式には「貸与」で、勝手に売ったり他人に譲ったりする事は出来ない。
●嬉しい選出と不運なトラブル
最近では扱う製品の件数も減って来たが、一時は毎月数点もあった。
(この中にそのPCが入って居る)
ある年、ある新発売の「小型パソコン」のレビューの募集があり、選考に見事に選ばれた。
選ばれるには日頃の活動がそれなりに評価されたからで、これだけでも名誉な事。
年間賞は、一年を通しての最高峰。
「オフィシャル」への登竜門でもある。
結果的には、後にこれが「最優秀レビュアー賞」に選ばれる大きな選考理由の1つにもなった。
このレビューではとにかく「不運なトラブルとの遭遇」のオンパレード。
商品到着前から、大切なレビューで使用予定の外付けHDDが突然壊れる。
どのマシンに接続しても認識しない。
ただ、今思うと、以前からたまに認識しなくなることがあった。
それまではパソコン本体の「再立ち上げ」で直っていた。
●またまた「トラブルのオンパレード」!
ここまでのトラブルなら良くある事。
慣れているし、全く気にしない。
しかし、本格的な「トラブルとの遭遇」はこれからである。
レビュー対象のパソコンが到着すると、まず最初に電源が入らない。
通常はどんなトラブルも自力で直す。
しかし、今回は「新品」だし、プレミアムレビュー用の特別な商品。
早速、事務局に連絡を取り事情を説明。
「このままではレビューが全く進められない」と言うのは事務局は百も承知。
まず始めに、「締め切りの事は心配しなくて良い」と説明された。
その後、「メーカー側と話を詰めるから待って欲しい」と指示された。
原因は調べて見ないと分からないが「初期不良」として送り返す事になった。
と同時に特別に「代品」を送って貰う。
それでも、これだけで、他の数人のレビュアーさんより1週間ほどは遅れを取ってしまった。
新しく到着した製品は順調に電源も入り、レビューを再開した。
ところが、良いところまで来ると、再び同じトラブルが発生。
この時、豊富な経験から自分は今までのトラブルの原因は完全に分かっていたが、考えがあって敢えて黙っていた。
●エンジニアへの「リスペクト」!
だいたい、通常はこのケースではユーザーとメーカーのエンジニアとの間では「スッタモンだ」になる。
挙句の果ては、「契約は解除だ、品物は返すから金返せ!」となるのが落ち。
しかし、今回の件は向こうにとっても事務局にとっても大事な新製品の特別なレビュー品。
こっちだって、名誉なプレミアムレビューの対象製品。
自分が降りたら、「事務局」も「メーカー」も計画は狂うし、「本人」だって困る。
何よりも困るのはメーカーのエンジニア。
それなりの役職のある人だろうし、ユーザーと揉めることは許されない。
「こんな事で企画その物を潰す気か?」と上からは責められるし、大きな責任問題にもなり兼ねない。
双方ともに「慎重な対応」が求められる。
●善後策
再び事務局と連絡を取った時、簡単にトラブルに対する自分の見解は簡単に説明。
しかし、これは結論では無いし、材料を提供して後は向こうの判断に任せる旨伝えた。
やがて、自分とエンジニアは、事務局抜きで直接やり取りをして今後どうするかを詰める。
こっちは「あらかたの原因」は分かっているし、「解決方法」も充分に知っていた。
しかし、そのまま言うと相手のプライドをズタズタにする事になる。
彼、及びメーカーへのリスペクトから、動作不良の原因はここでは暈す事に…。
代わりにトラブルの出た状況を詳細に説明する。
こちらからあれこれ想像するより、材料を充分提供して判断は向こうに任せる考えだ。
色々と考え方はあるが、これは自分では「良い対応」だったと思って居る。
基本的な考え方として、
- 「自分はエンジニアでは無くて単なるユーザーの1人」。
幾ら経験や知識が有っても、相手の領分は犯さない。
●原因詳細
原因は、ハッキリ言つて外付け電源の「プラグの作り」。
トラブルの原因は接触不良。
(とても良く似た作りの外付け電源)
上の画像は「別機器の物」なのだが、たまたま造りが酷似していたのでこれで解説して置く。
この電源は特殊仕様で、日本仕様の100V用プラグでは無く、万国仕様のプラグに日本向けのアダプターが付いている。
画像左の①と②を組み合わせて右の③となる。
非常に「接触不良が起き易いパーツ」である。
最初に搬入された時から「これは危ないな?」とは思った。
しかし、使っても居ない内から指摘するのも失礼。
だから、分かっていても現象が出てから指摘する事に。
エンジニアさんには「考える手間」を取らせたが、結論ではなく「ヒント」は的確に提供して来た。
事務局には「自分の分析や考え」を詳しく説明した。
しかし、「相手に結論は押しつけず、判断は向こう任せだ」と伝えた。
3度目に送られた商品が「対策済み」だったのかどうかはエンジニアしか知らない事。
しかし、幸い「3度目のトラブル」は発生しなかった。
尤も、今度も接触不良が起これば自分で直す自信はあった。
レビューは事務局判断で自分は期限を一定期間先送りされた。
もちろん、本来の締め切りに遅れた理由などに付いてはレビューでは全く触れ無くても原稿は当然受理された。
また、「本製品の設計上の問題点」などには全く触れない事とした。
(この時点では未確認だが、メーカ―として適切な対応をしているから結果としてレビューも仕上げられた)
それから、「他社製外付けHDD故障による要件変更」も認めて貰い、何とか無事締め切りに間に合わせた。
ハッキリ言うと、今回の自分の対応は、「ベスト」とは言い切れないかも知れないが、「ベター」だった。
誰も傷付く事なく、全員がそれぞれの分野で最大限の仕事が出来た。
この時、自分は「年間レビュアー賞」の受賞も何となく予感していた。
受賞後の一言では「まさか、自分が受賞するとは~」と、心にも無い台詞を吐いてはいるが…。
(記念の盾)
年末の年間賞の発表の「授賞理由」には、「難易度の高いレビューにも~ 」と抽象的に表現されていた。
もちろん、後日あった「オフィシャル会員の追加発表」にも自分は含まれた。
その後、電源アダプターのプラグが改善されたからどうかは確認はしていない。
しかし、あの時の察しの良いエンジニアはきっと自分の言いたい事を理解してくれ、的確な対処をした筈である。
その後、そのパソコンは順調に売れた様である。
●後日談
この件の前から、そのサイトでは「自分は接触不良の専門家」と公言して憚らなかったのは広く知られており、それも自分の主張が通った一因となったと思う。
(一時「故障」とされた2.5インチHDD。今も異常なしで継続使用中)
それから、壊れたHDDの検証はレビュー後に詳しく行ったが、こちらの原因も「接触不良」だった。
ケースへの収め方が悪かったのか、最初は異常無く働いていたが次第に接触抵抗が高くなり仕舞には動作しなくなった…。
気持ちが悪いからHDDとケースは別々に使用しているが、その後どちらも「正常」に使用中。
親しい友人からは、「お前の家の上を通っている高圧線のせいだ!」とか、「お前の家の周辺で硫化水素が発生してる」。
中には「お前の家は悪魔の館だから、お払いが必要だ!」と言うプロの占い師(彼も友人)も居たほど。
●後日談後の「まとめ」
この話は、「ボー」っと聞いていると別に大した話には聞こえない。
しかし、メーカーの立場に立ってみると「とても大変な話」。
もしも、交渉した相手が「自分」(hachi)では無くて「企業ゴロ」みたいな悪い奴だったとする。
すると、「今回の件」は「お宅の製品の製造ミスだ!」と騒ぎ出すことは確実。
例の「誠意を見せろ!」の台詞である。
そうなった場合、「企業ゴロ」には少なくとも200~300万円は包まなくてはならない。
(金額の根拠不明)
だから、サイトにもメーカーにもこの件を上手く収めた事で自分に対する評価はますます高まった事になる。
そう考えたのは自分だけだったかも知れないが…。
そうなると「年間賞やオフィシャル昇格」ぐらいは「屁」でも無い。
ただ、自分はこの事でこのサイトでの本当の意味での「ホワイトハッカーとしての地位」を固めたのは言うまでもない。